四川省、重慶市で電力供給規制 自動車産業への影響も

2022/08/23 08:30

猛暑で電力供給が逼迫している中国の四川省や重慶市などで、相次ぎ計画停電措置が発表されている。自動車関連のメーカーが多いこれらの地域で、一部の自動車メーカーがこれに応じて操業を停止している。

中国西部における重要な自動車生産拠点である四川省は、一汽VW、一汽トヨタ、神竜汽車、吉利商用車などが工場を構えているが、トヨタ自動車は8月16日、成都にある一汽との合弁による工場の操業を8月20日まで停止すると発表した。

四川省はまたリチウム電池の生産拠点でもあり、車載電池大手のCATLも四川省宜賓に工場を設けているが、これらの業界も計画停電の影響を受けている。上海有色金属網SMMによると、四川省の炭酸リチウム生産量は業界全体の3%分となる約1120トン減少し、水酸化リチウムは同じく約8%分となる約1690トンの生産減となるという。

また重慶市も、長安汽車、上汽GM五菱、小康、長城炮などが工場を構えるなど、多数の自動車メーカーが立地している。重慶には集積回路や半導体関連の会社も多く、実装テストのSK海力士、平偉実業、嘉凌新など、チップ製造の智浦、紫光展鋭、中星微電子など、半導体製造の華潤微電子、中科渝芯、AOS万国半導体、紫光DRAM存儲芯片、信芯量子などが存在する。

自動車について、四川省と重慶市には車両メーカーが45社、部品メーカーが1600社あり、年間の生産額は6000億元(約12兆円)で、生産台数は中国全体の12%近くとなる300万台近くに達している。

今年上半期はコロナの影響で生産台数も随分減ったが、このところの収束傾向で急速に回復してきた。しかし、今回の猛暑に伴う停電措置でかなりの影響が出ると見られ、納入遅延といった事態も発生しそうである。

(中国経済新聞)