中国製リモコン電池を誤飲した米国男児、損害賠償額は29億円に

2025/07/14 18:30

チューリッヒ財産保険(中国)有限公司はこのほど、米国で発生した製品責任訴訟に関する保険金支払いを完了したと発表した。対象となったのは、同社が引き受けた商業総合賠償責任保険(CGL)の超過補償部分で、支払額は約1億4128万元(約29億円)に上る。

本件は、2022年7月に米国で発生した6歳男児の誤飲事故に端を発する。報告によると、男児は中国から米国に輸出されたエアコン用リモコンのボタン電池を誤って飲み込み、深刻かつ永久的な消化器系の損傷を負った。この事故に関連し、被害者側は2023年4月、リモコンの製造元とされる被保険者に対して1億2520万米ドル(約185億円)の損害賠償を求めて訴訟を提起した。

チューリッヒ財産保険は、訴訟開始直後から被保険者および弁護団と緊密に連携し、損害調査および保険責任審査を進めると同時に、法的対策の策定と訴訟戦略の支援を行った。弁護団は、陪審による更なる高額な賠償判断を避けるため和解を勧告。最終的に2025年6月、被保険者と原告側は4000万米ドル(約58億9440億円)で和解に至った。

本案件に関して、保険契約に基づく責任が認められ、すでに基本保険層の支払い限度額を超えていたことから、チューリッヒ財産保険は超過部分の支払いを実施した。6月18日時点で累計支払額は約1億4,128万元(約29億円)に達し、保険金の支払い限度に達したため、本件はすでに結了している。

なお、当該リモコンの製造元とされる中国企業の名称については、公表されていない。

チューリッヒ保険グループは、スイス・チューリッヒに本社を置く世界的な保険会社であり、中国においては損害保険業務の営業許可を有する法人として「チューリッヒ財産保険(中国)」を展開している。現在の登録資本金は9億2,200万元で、本社は上海市に所在する。

(中国経済新聞)