黄奇帆氏が指摘、18社中国自動車企業の合計利益はトヨタの40%未満

2025/07/14 07:30

7月13日、中国国家イノベーション・戦略研究会の常務副主席で元重慶市長の黄奇帆(Huang Qi Fan)氏は、2025年貝壳財経年会で、中国自動車製造業の収益性に関する厳しい現実を指摘した。中国は世界最大の自動車生産国として知られるが、利益率の低さが深刻な課題となっており、日本トヨタ自動車の単独利益に比べて、中国の主要18社の合計利益が40%にも満たない状況が明らかになった。

黄氏によると、中国の自動車製造業は製造業の中でも比較的高い収益性を期待される分野であるはずだが、2024年上半期までの産値利益率はわずか5%にとどまっている。中国は年間約3000万台の自動車を販売しているものの、その総利益はトヨタの約900万台の販売利益を下回るという。黄氏は「3000万台の自動車を売っても、トヨタの900万台の利益に及ばない」と強調した。

トヨタ自動車は5月8日、2025年度(2024年4月~2025年3月)の財報を発表し、純利益が4兆7650億円(約2337億元人民元)に達したと公表した。前年比3.6%減とはいえ、その利益規模は依然として圧倒的だ。一方、DearAutoの統計によると、中国の18の上場乗用車企業のうち、13社が利益を上げた合計純利益は1226億元(約2兆5208億円)に過ぎない。残る5社の赤字332億元を差し引くと、総利益は900億元未満となり、トヨタの利益の40%にも満たない計算になる。

さらに、単車利益の格差も顕著だ。トヨタの2025年度グローバル販売台数は1040万台と予測されており、1台当たりの利益は約2.29万元。一方、中国の自動車業界をリードするBYD(比亜迪)の単車利益は0.94万元(純利益402.5億元÷販売台数427.2万台)と、トヨタの半分以下にとどまる。この差は、中国企業が価格競争に巻き込まれ、付加価値の高い製品開発が追いついていないことを示唆している。

黄氏は講演で、中国製造業全体の進展についても触れた。中国の製造業規模はすでに世界の30%以上を占め、2010年以前は世界の主要10分野でリーダーシップを取れなかったが、現在は5分野で「リード」、残り5分野で欧米と「並走」するまでに成長したという。「中国製造業は『大きくて弱い』というイメージを払拭し、新たなページをめくった」と黄氏は評価した。

この指摘は、中国自動車産業が量の拡大から質の向上へシフトする必要性を浮き彫りにしている。政府の新エネルギー車推進政策や技術革新が今後、収益性改善の鍵となるだろう。業界関係者は、黄氏の発言を「警鐘」として受け止め、グローバル競争力の強化に取り組む姿勢を示している。

(中国経済新聞)