米裁判所、「中国軍事企業リスト」からの除外は認められず中国LiDAR企業「禾賽」の訴えを棄却

2025/07/15 13:30

米国ワシントンD.C.連邦地方裁判所は、7月11日付で中国のLiDARメーカー「禾賽科技(Hesai Technology, NASDAQ: HSAI)」による訴訟を棄却したと発表した。これにより、禾賽は引き続き米国防総省が管理する「中国軍事企業」リストに掲載されることが確定した。

禾賽は2024年1月、米国防総省から「中国軍事企業」に指定され、同年2月にその決定を不服として提訴していた。

この「中国軍事企業」リストは、米国議会が制定した「2021会計年度国防権限法(NDAA FY2021)」に基づき、国防総省が作成するものである。リスト掲載による直接的な制裁措置は少ないが、企業の評判に深刻な影響を与えるとされており、米国の政府契約、融資、補助金の受給などに支障を来す可能性がある。特に2026年以降は、リスト掲載企業が米国防総省との契約を締結することができなくなる。

禾賽に関しては、2024年9月に一度リストからの除外が検討され、メディアでも「除外決定か」と報じられたが、10月には一転して再掲載された。その後、国防総省は禾賽の軍事関連性に関する論拠を更新し、訴訟は継続していた。

裁判において争点となったのは、「中国国防産業基盤への貢献者」および「軍民融合貢献者(Military-Civil Fusion contributor)」という定義である。国防総省は、禾賽が以下の4つの要件に該当すると主張:

中国政府の軍事関連科学技術プロジェクトから支援を受けている

中国工業情報化部(MIIT)との関係がある

軍民融合産業園区に所在している(例:重慶経開区、嘉定工業区)

軍需調達プラットフォームにて広告を出していた

禾賽はこれに対し、「行政手続法(APA)」に反しており、定義が恣意的かつ不明確であると反論。「軍民両用技術の基準が曖昧である以上、どの企業も対象になり得る」と主張した。

判決では、禾賽が「軍民融合産業園区に所在していた」ことがリスト掲載の正当な根拠とされ、その他の要件についての是非には踏み込まなかった。また、「中国国防産業基盤への貢献」の定義についても、禾賽の主張する「軍向け供給限定」という基準は採用せず、国防総省の広範な解釈を一定程度容認する形となった。

禾賽は現在のところ公式なコメントを発表していない。

(中国経済新聞)