7月22日、中国核融合エネルギー会社(中国名;中国聚変能源有限公司)の設立式典が上海で開催された。上海市副書記兼市長の龔正(Gong Zheng)氏と中国核工業集団(CNNC:中核グループ)の党組書記兼董事長の申彦鋒(Shen Yan Feng)氏が共同で同社の設立を記念する除幕式を行った。この新設企業は、中核グループ傘下の中国核燃料有限公司を前身とし、総額約115億元の増資を経て、登録資本150億元(約3060億円)を誇る企業へと生まれ変わった。
中国核電公司の発表によると、増資後の核融合エネルギ会社の株主構成は以下の通りである。中核グループが50.35%の株式を保有し、最大株主の地位を維持。中国石油集団傘下の昆仑資本が20%、上海未来聚変能源科技有限公司(上海核融合)が11.81%をそれぞれ保有する。その他、中国核電(6.65%)、浙能電力(5%)、国家緑色発展基金(3.19%)、四川重科聚変能源科技有限公司(3%)が株主として名を連ね、合計約114.92億元の投資を行った。この大規模な資金調達は、2025年における上海最大の投資案件として注目を集めている。
中核グループは現金と知的財産権(評価額約30億元)を出資し、他の株主は現金による出資を行った。この増資により、聚変公司は評価額100億元を超える「スーパーユニコーン企業」となり、中国の次世代エネルギー産業における重要なプレイヤーとしての地位を確立した。

核融合エネルギー会社は、中核グループの核融合エネルギー産業の実施主体、投融資プラットフォーム、総括単位として位置付けられている。同社は磁気閉じ込めトカマクを技術路線とし、「パイロット実験炉」「デモンストレーション炉」「商業炉」の三段階の発展計画を推進する。これにより、核融合エネルギーの商業化という最終目標の実現を目指す。
核聚変は、燃料が豊富でクリーンかつ安全、かつエネルギー密度が高い「人類の究極エネルギー」として知られる。中核グループは、2023年に国務院国有資産監督管理委員会(国資委)が開始した「未来産業始動プロジェクト」に応じ、核融合エネルギーを未来エネルギーの重要分野と位置付け、関連技術の研究開発を加速させてきた。2023年12月には、中核グループが主導し、24の中央企業、研究機関、大学が参加する「制御核融合イノベーション連合体」が設立され、核融合会社の前身となる組織が発足した。
中核グループ傘下の核工業西南物理研究院は、中国の核融合研究をリードする機関として、「中国環流一号」「中国環流二号」に続き、2020年に第三世代の先進トカマク装置「中国環流三号(HL-2M)」を自主設計・建設した。2022年10月には同装置が100万アンペアのプラズマ電流を達成し、2023年8月には高制約モードでの運行に成功するなど、技術的進展を重ねている。
核融合会社の設立は、中国のエネルギー安全保障と環境保護の戦略目標に合致するだけでなく、グローバルなエネルギー構造の変革に寄与する可能性を秘めている。上海は高温超電導技術などの核心技術開発を先導し、高水準のイノベーション主体と優秀な人材チームの育成に注力している。 また、同社は上海交通大学や中国電気装備集団、上海電気集団、申能集団などと協力協定を締結し、産学連携を強化している。
中国核融合エネルギー会社は、核融合の商業化に向けた「三階段の戦略」を着実に進め、2045年頃の実証段階、2050年頃の商業発電を目指す。 この「人工太陽」プロジェクトは、クリーンで持続可能なエネルギーの未来を切り開く中国の挑戦として、国内外から大きな注目を集めている。
(中国経済新聞)