かつて「Eコマースの巨人」として知られたアリババは、今、単なるオンライン小売の枠を超え、人工知能(AI)とクラウドコンピューティングを核とするテクノロジー企業へと急速に変貌を遂げている。2025年度の年次報告書によると、アリババグループの総収入は9963億4700万元(約20兆円)、純利益は前年比77%増の1259億7600万元(約2兆5900円)に達した。特にクラウド事業とAI関連事業の成長が顕著で、市場の注目を集めている。アリババは、AIを「未来のコア」と位置づけ、巨額の投資と戦略的な展開を通じて、グローバルなテクノロジー競争でのリーダーシップを目指している。
新たな成長曲線の構築
2025年度、アリババの主力である淘天集団(タオバオ・天猫)の売上成長率はわずか3%にとどまった一方、クラウド事業(阿里雲)は売上1180億元(約2兆4238億円)を記録し、前年比11%増を達成した。特に第4四半期では、阿里雲(アリババクラウド)の売上が前年比18%増の301億2700万元(約6200億円)となり、過去3年間で最速の成長を記録。この背景には、AI関連製品の売上が7四半期連続で3桁成長を遂げたことが大きく寄与している。