第25回世界ドローン大会、3日間で成約額4000億円 装置系のサプライヤーや産業チェーンの形成が焦点に

2025/05/30 13:30

深センで行われていた「第25回世界ドローン大会」が5月25日に閉幕した。主催者側の発表では、累計来場者数は海外103の国や地域から訪れた6041人を含む計131463人で、成約意向額は例年を大きく上回る約200億元(約4000億円)と、業界外からもかなりの目が注がれた。

公開情報によると、大会は低空経済の質の高い発展の成果が焦点となり、出展者数は計825社で、各方面の会社が最新の技術や製品を披露した。展示されたドローンは5000種類以上で、産業チェーンの川上から川下まで、開発や製造からトレーニングまで、さらには業界内から新たな場面の利用までをカバーしたものとなった。

深センドローン協会の楊金才会長によると、中国は民生用ドローンについては世界の74%を、産業用ドローンは同じく55%を占めており、用途は200以上に及んでいるという。

中国民用航空局の董志毅元副局長は、「低空経済はデジタルインフラを基盤に安全で効率的な管理体制を整備する必要がある。航空システムは今、5Gや北斗などを使って低空域での改革を進めており、ドローンによる物流や都市の空中交通などでの実用化を切り開いている」と強調した。

チャイナ・テレコム広東支社の王湘江副総経理は、珠江デルタ地帯での実例として「5Gのドローンによるパトロールや緊急時の通信確保などを実行しており、今後は『官・民・学・研究機関』の統合や提携を一段と深める」と説明した。

「智庫」の創業者である陳向氏は、DJIや中航無人機、航天彩虹、縦横など有名どころの上場ドローンメーカーよりむしろ、その背後にある装置系の企業を支援すべきだと見ている。「ドローンの『四肢五官』であり、『五臓六腑』であり、『皮膚』であるこれら各社こそが業界を支える基盤だ」という。

今大会で陳氏は、ドローンやeVTOLの製造について新顔の会社が多かった点を挙げた。航空電子について、「重慶自行者」は革新的な取り組みでシリコンフォトニクス光ジャイロスコープ(シリコフォトニクスを利用して製造したもの)を開発した。光ファイバー製に近い性能を誇りながら価格はMEMSジャイロ(マイクロマシンを利用して製造したもの)並みに安く、こうした新型の慣性ナビゲーション製品が主力のドローンやeVTOLなど低空飛行物体でかなりうまく利用されている。

燃料装置については、中国では100-300kwのピストンエンジンで「航瑞動力」と「宗申航発」の2社がほぼ独占状態であり、大型固定翼やドローン本体で最も普通に利用されている。またローパワーのピストンエンジンに特化している砺徳動力は、離陸時の重さが25~300キログラムの主力中型複合翼などを備える産業用ドローンで市場シェアが80%に達している。去年、各省での非常用の中型複合ドローンの入札ランキングで上位に名を連ねた縦横、遠度、星展、聯合飛機、傲勢や、航天三院、天晴、卓翼、星網宇達が納入先となっている。

このほか、本体やパラシュート、電磁波対策装置、燃料エンジン一体型のモーター、本体燃料装置、プロペラ、電子光学ポッド、ナイトビジョンカメラ、衛星通信アンテナ、データリンク装置、ランディングギア、ダンパー装置、AIアルゴリズム供与、サイバーセキュリティーといった分野では一部企業の「独走」状態であるが、リチウム電池、水素エンジン、モーター制御、飛行制御装置、光ファイバー慣性航法、ケーブル及びコネクター、PCB製造(プリント基板)、複合材の原材料とその製造、ドローンの製造プラットフォームなどは種々の事情で事業者が多く競争が激しい。

低空経済は、産業チェーンが形成されることで多くの事業者が活気づき成長が進む、ということである。

(中国経済新聞)