外食デリバリーの競争続く 美団は店内飲食を推進タオバオはオンライン注文にテコ入れ

2025/08/14 07:30

外食デリバリーの競合社で8月初めに同時に「休戦」を宣言した美団と淘宝閃購(タオバオ・フラッシュセール)の両者は、その後も競争を続け、ともに差別化を図るために新たな取り組みを実行している。

美団、店内飲食の普及計画を実施

美団は8月12日、「店内飲食の推進」計画に沿って、店舗での客足や売上高の増加に向け、すべての会員に対してクーポン券を配布した。今年末までに小規模なレストラン10万店以上に対して補助金を出す予定で、1店舗あたりの支給額は最高で5万元という。

クーポン券は美団が費用負担し、飲料や食事の店で利用可能であり、店での食事やテイクアウトを増やすことが狙いである。美団によると、割引券利用のため客が店に行くことで別途消費が生まれるという。クーポン券の配布を始めてから店内飲食の売上が増えた店もあり、ラグジュアリーカード所有者は店に足を運んだ人の数が60%増えた。

美団はこの前の8月5日に、中小店舗の支援計画を発表していて、立秋の日に各店に向け第1弾の補助金を支給した。安売り合戦を展開する店を支援するため予算や資源の投入を今後も増やしていくとのことである。

網経社Eコマース研究センターのアナリストである陳礼騰氏は、「補助金の支給後に重点を小規模店に振り向けた美団の取り組みは、『規模の拡張』から『業界の健全化』への転換を意味するもの」と述べている。数が多くてリスクに弱い小さな店は、地元民へのサービスという点で欠かせない存在だという。

タオバオはオンラインでの販促に集中

タオバオ・フラッシュセールは今年も立秋の8月7日、2020年から始めているキャンペーン「この秋初のミルクティー」を実施した。今年は「この秋初の清涼飲料」にグレードアップした結果、30万以上の飲食店舗で売上量が最大値に達し、外食デリバリー「餓了么」は去年よりも配達数が3.5倍、売上は1.4倍に増えた。

この日はまた、レモネードが初めてタピオカミルクの販売量を超えて人気NO.1の飲料になった。茶飲料の店では新たな客の数が前週の255%増となっている。タオバオは宣伝や客集めのため、補助金支給や有名人の起用、またオンラインと現場でのクーポン配布を実施した。

タオバオは7月、稼働したデリバリーの人数が前年同月比181%増となり、このうちクラウドソーシングによるものが236%増で、1万元以上の収入を得た人の数は184%増であった。陳氏は「こうした取り組みは『餓了么』の即時配達ネットワークによる配達効率の向上、また検索件数やSNSでの拡散により支えられた」と分析している。

各事業者がそれぞれ取り組みを実施

美団は立秋の日に、「この秋初のミルクティー」とのキャンペーンで中国全土へ新商品を発売。茶飲料の業者100社以上が参加し、計25万店舗で販売された。

京東も同じく立秋の日、「この秋初のフライドチキン」とのキャンペーンでオンデマンドリテール(即時販売)を実行している。

業界内では、「タオバオは今後、アリババの地域生活資源を統合して『通販+デリバリー+オンデマンドリテール』といった形を講じ、美団は商店や地元密着サービスを軸に、デジタル化ツールと団地の一括購入を結び付けた『商店+即時配達』との仕組みを形成。また京東は引き続き品質重視路線を歩む」との見方を示している。

じわじわと続く外食デリバリー各社の競争。各社がオンラインや現場で取り組みを講じることで、市場構成が変化を続けている。

(中国経済新聞)