上海市国資委、暗号資産とステーブルコインの学習会を開催

2025/08/14 15:30

上海市国有資産監督管理委員会(上海国資委)はこのほど、党委中心組学習会を開催し、暗号資産とステーブルコインの発展動向および対応策について集中的に議論した。この動きは、6月の陸家嘴フォーラムで中国人民銀行の潘功勝総裁がステーブルコインに初めて言及したことに続くもので、上海が国際金融と科学技術イノベーションの中心としての役割を強化する意図を明確に示している。

現在、中国は暗号資産とステーブルコインの引き取りと流通を禁止されている。

上海国資委の賀青党委书记・主任が自ら会議を主宰し、講演を行った。賀青は、7月7日に開催された上海市委員会第12期第7回全体会議の精神を踏まえ、イノベーション主導の姿勢を堅持し、新興技術への鋭い洞察力を維持すること、デジタル通貨の研究を深めること、そしてブロックチェーン技術を跨境貿易、サプライチェーンファイナンス、資産デジタル化などの分野で活用することを強調した。賀青はさらに、戦略的敏捷性と主体性を高め、科学技術、金融、産業の深い融合を推進し、国資国企が科学技術イノベーション、産業制御、安全保障の面で重要な役割を果たす必要性を訴えた。

今回の学習会が金融監督機関やデータ関連部門ではなく、上海国資委によって主導された背景には、同委員会が国有企業を通じて産業と金融の融合を推進する役割を担う点がある。上海は国有資産規模が大きく、対外貿易と科学技術のグローバルな拠点としての地位を有する。この学習会は、暗号資産とステーブルコインがもたらす産業応用の可能性を模索し、上海の「五つの中心」—国際経済中心、金融中心、貿易中心、航運中心、科学技術イノベーション中心—の構築を加速させる戦略的取り組みと言える。

今回の学習会は、2023年12月の習近平総書記の上海視察での指導を具体化するものだ。習近平は、上海に対し、国家戦略を牽引し、特に科学技術イノベーション中心の構築を加速するよう指示した。上海国資委の今回の動きは、この使命に応え、暗号技術とステーブルコインを活用して金融と産業の融合を推進する姿勢を示す。賀青の講演では、「暗号資産取引」や「マイニング」といった金融リスクに関連する言葉を避け、「暗号技術」と「ステーブルコイン」に焦点を当てた。これは、中央政府の金融リスク防止の方針を遵守しつつ、国際的なルール形成に参画する余地を残す慎重なアプローチを反映している。

上海は、シンガポールや香港とデジタル金融ハブの地位を争っている。シンガポールの国資企業テマセクはすでに複数のステーブルコイン企業に投資しており、香港も8月1日にステーブルコインに関する新政策を施行した。これに対し、上海国資委の今回の学習会は、暗号資産とステーブルコインの分野で国際的な影響力を確保し、技術標準やルール形成における主導権を握る意図を垣間見せる。上海がデジタル金融のフロントランナーとして、国内外の潮流に遅れを取らずに進む姿勢が明確だ。

(中国経済新聞)