中国では、政府機関や事業体による中小企業への代金未払いが長年にわたって問題視されてきた。特に建設業、ITサービス、事務用品調達などの分野では、政府関連の案件は規模が大きく信用力もあるものの、代金回収までに半年以上かかることも珍しくない。こうした遅延は企業の資金繰りを圧迫し、時には高利貸しを頼らざるを得ないケースもある。
こうした現状を改善するため、中国国務院は2025年6月1日より新たな規定を施行すると発表した。この新規定では、政府機関および事業体が中小企業に対して行う代金の支払いについて、契約締結時に支払方法および支払期日を明記しなければならず、支払期日は最長でも60日以内とすることが義務付けられる。
さらに、60日を超えて支払いが遅れた場合、毎日0.05%の遅延利息が発生することが明記された。これは法的拘束力を持つ強制規定であり、従来の“名ばかりの約束”とは一線を画す内容となっている。
建設会社のある経営者は次のように述べている。「政府案件は安定していますが、資金回収の遅れで我々の運転資金が圧迫され、やむを得ず借金をすることもあります。今回の新規定には大きな期待を寄せています。」
また、新規定では全国統一の電子政務サービスプラットフォームを通じて苦情を申し立てる制度も整備された。企業は契約に基づく未払いをこのプラットフォームで申告でき、関係機関は30日以内に対応しなければならない。
このように、制度的な裏付けと罰則をセットで整えることにより、これまで“泣き寝入り”せざるを得なかった中小企業にとって、大きな後押しとなる。国としても、企業活動の健全な循環を確保し、経済の基盤を支える中小企業の存続を守ることを目的としている。
今後、この制度がどの程度現場で実効性を持ち、地方政府や関係機関がどれだけ迅速に対応するかが注目される。
(中国経済新聞)