新華社の中国企業発展研究センターが主催した「企業の役割を発揮し消費刺激を後押し」という検討会で、「飲食業の消費について、様々な理由により現実的な問題が多い。デジタル化で消費を促すことは、消費の質を格上げしよりよい暮らしへのニーズを満たす上で大きな意味がある」との意見が出た。
中国では今、個人消費が商品からサービスへ格上げする傾向が強まっており、飲食業界が消費をけん引する重要な力になっている。2024年1-11月の消費財全体の小売り総額は前年同期より3.5%増えて44兆2723億元であり、このうち飲食業は売上高が5兆169億元で、増加率は5.7%と全平均を上回った。
2024年以降、高度な運営効率や革新力をバックに売上が急増している飲食事業者もある。ミルクティー専門店の霸王茶姫(CHAGEE)は店舗数が海外も含め4500か所を超え、「小菜園国際」や「古茗」が相次ぎ香港証券取引所で上場を果たした。

飲食業全体でデジタル化が進む中、オンラインでのデリバリーサービスが鮮明な波及や拡散効果を生み、消費の場や時間帯を拡大する形で新たな需要をもたらし、業界の成長につながっている。中国商務省によると、2023年はオンライン飲食業の売上高が29.1%増で、飲食業全体に占める割合は22.2%まで上昇している。
「2024中国飲食業年度報告」によると、2023年の飲食デリバリーの市場規模は約1.2兆元で、業種全体に占める売上高割合は22.6%であった。調査対象の会社のうち、デリバリーの売上分が2022年より増えたのが5割以上であった。
検討会では、「即時配達できる体制が全国に広まり、業界全体の運営効率が飛躍的に向上し、消費者のニーズをさらに満たすようになった」との指摘があった。デリバリー事業の成長基盤となる即時配達が、経済や社会の成長へ外的に波及する経済価値をもたらしている。
飲食業界で、中小の店舗は来客の範囲が半径500メートルほどであるが、フードデリバリーの「美団」は配達の平均距離がその2倍近い987メートルである。美団は2023年、飲食全体の売上高が2019年より6168億元増加し、このうち95%以上となる約6000億元がデリバリーによるものだった。
フードデリバリー事業者の牽引で小売りのチャネルも急成長し、即時配達の対象品目もこれまでの弁当類から、自宅向けの生鮮品、スーパーなどの販売品、花やお菓子、医薬品、アパレル品やシューズ、3Cデジタル品、化粧品などに拡大している。
「美団閃購」を代表格とする新たな販売スタイルは、デジタル化による「前置倉庫型」を導入することで、あらゆる小売り品の大型~小型の実店舗におけるオンラインでの営業展開を後押し、「全商品を30分以内に配達」という地元消費者のニーズに応えている。