5月7日、中国人民銀行の潘功勝総裁は国務院新聞弁公室の記者会見で、最新の金融政策を発表しました。主な内容は、預金準備率を0.5%ポイント引き下げ、政策金利を0.1%ポイント引き下げ、市場に約1兆元の長期流動性を供給するなど、10項目にわたる措置です。これらの政策は、中国経済の持続的な回復を支え、消費と投資を促進することを目的としています。
特に注目されるのは、預金準備率の0.5%ポイント引き下げです。この措置により、約1兆元の長期流動性が市場に放出されると予想されます。また、政策金利の0.1%ポイント引き下げは、貸出基準金利(LPR)の約0.1%ポイント低下を促すと見られています。これにより、企業や個人の資金調達コストが軽減され、経済活動が活性化するでしょう。
構造的な金融政策の調整も大きな亮点です。農業や中小企業向けの再貸出金利は1.75%から1.5%に、抵当補充貸出(PSL)金利は2.25%から2%に引き下げられ、特定の分野における資金調達コストの低減が図られます。さらに、新たに「サービス消費・高齢者向け再貸出」が5000億元規模で設立され、科学技術イノベーション向け再貸出枠も3000億元から8000億元に拡大されました。
住宅市場の支援策として、積立金住宅ローンの金利が0.25%ポイント引き下げられ、住宅購入者の利子負担が約200億元軽減される見込みです。これらの措置は、消費需要の喚起と不動産市場の安定化に寄与するでしょう。
興味深いことに、伝統的な経済理論では利下げや降準が通貨安圧力をもたらすとされますが、人民元は5月に520ポイント上昇し、国際市場における中国経済への信頼を示しています。この背景には、「五一」連休の消費データが大きく寄与しています。2025年の「五一」連休では、国内観光客数が3億1400万人(前年比6.4%増)、観光消費額が1802億6900万元(同8.0%増)と、力強い経済回復の兆しが見られました。
今回の中国人民銀行の措置は、経済の安定成長を支えるための包括的かつ戦略的なアプローチです。消費の拡大、企業の支援、イノベーションの促進を通じて、中国経済はさらなる成長軌道に乗ることが期待されます。
(中国経済新聞)