中国のアニメーション映画『哪吒之魔童闹海(ナタ:魔童、海を騒がす)』が、5月5日時点で全世界興行収入158億元(約3125億円)を突破し、世界歴代興行収入ランキングで第5位に浮上した。ジェームズ・キャメロン監督の『タイタニック』を超えるのも時間の問題と見られている。
本作は、2019年に中国国内で空前のヒットとなった『哪吒之魔童降世(ナタ:魔童降臨)』の正式な続編であり、中国古代神話をベースにしたファンタジーアニメ。ストーリーテーマはもちろんのこと、キャラクターデザイン、背景美術、小道具に至るまで、あらゆるディテールに中国伝統文化のエッセンスが息づいている。

主人公のナタは、風火輪を踏んで困難に立ち向かう若き英雄。今回の作品では、ナタの成長と内面の葛藤を描くことで、“現代中国人が共感できる「時代精神」や「逆境に負けない強さ」”を表現している。
映画は中国国内だけでなく、フランス、マレーシア、シンガポール、スウェーデン、オーストラリア、ニュージーランドなど、海外でも続々と公開されており、多くの外国人観客や映画関係者から高い評価を受けている。「圧倒的なビジュアルと深みのある物語」「挫折を乗り越える姿勢と挑戦する勇気が印象的」といった感想が寄せられ、現地での観客動員にも大きく貢献している。
『哪吒2』は単なるヒット作品にとどまらず、中国文化の深さと現代的な表現力を世界に示した点でも意義深い。国産アニメ映画として、これほどまでにグローバルな支持を獲得した例は少なく、「中国発のIP(知的財産)」としての存在感を一段と高めている。
今後の興行推移次第では、歴代3位以内に食い込む可能性もあり、中国映画がいかにして世界市場に影響を与え得るか、その象徴的な事例として注目されている。
(中国経済新聞)