深圳の2000億円級住宅用地オークション、誰も入札せず中止に

2025/05/1 07:30

4月30日に予定されていた中国・深セン市での住宅用地の公開売却が、突如として中止された。4月28日正午、深セン公共資源取引センターは、「深セン市規劃・自然資源局の通知を受け、該当地塊の譲渡手続きを中止する」とする補足公告を発表した。

この地塊は、深センの中心エリアである宝安センター区に位置し、4月20日に公告されて以来、大きな注目を集めていた。起拍価格は86億2700万元(約1700億円)に設定されており、「高値落札」方式での売却が予定されていた。業界では、最終的な落札額が100億元(約2000億円)を超える可能性もあると予測されていた。

しかし、公告開始から応募締切までの期間に、いずれの不動産企業も入札申請を行わず、保証金の納付もなかったことが判明した。入札申請の締切は4月28日正午で、同時刻に売却中止の公告が発表されたことから、関係当局が入札ゼロという事態に懸念を抱き、急遽中止を決定したものとみられる。

複数の深センの不動産開発関係者が「今回の高額地塊には誰も手を挙げなかった」と明かしており、当局はこのまま入札不成立となれば市場全体の信頼感に悪影響を与えることを懸念したという。

今回の事例は、中国の一級都市である深センにおいても、不動産市場の冷え込みが続いていることを示す象徴的な出来事である。特に、財政圧力を受けている多くのデベロッパーにとって、高額の土地取得は依然として大きな負担であり、慎重な姿勢が目立っている。

業界関係者は「土地供給の戦略や価格設定を再考する必要がある」と指摘しており、地方政府による土地出しの手法と、開発業者側の投資意欲との間に、依然として大きなギャップが存在していることが浮き彫りになっている。

(中国経済新聞)