中国のEC大手「京東集団」(DJ.com)は4月15日、「取締役会長の劉強東(Liu Qiangdong)のデジタル分身『采銷東哥』が4月16日午後6時18分からライブコマースを始める」と発表した。
京東は最近、ライブ配信事業にかなり力を入れている。4月10日には、作家や優れたコンテンツ会社を集めるため、インセンティブとして現金10億元(約213億円)とアクセスとして10億元分を用意すると発表した。創作の達人20人以上に対して現金を支給するというものである。具体的には、応募資格を満たした人に対し、指定期間内のアカウントで最高30000元(約64万円)を支給するほか、ビデオの再生に対する補助金や配信時のミッションも支払われる。
一方、京東からすれば、ライブECでデジタル人間による配信がこれからの中心となることから、こうしたプラットフォームさえあれば一段と革新的な事業が実施可能となる。
京東は技術面で言えば、大規模言語モデルの「言犀」を生成して、「京小智」、「アバターインフルエンサー」、「智能外呼」などのAI商品に導入しており、マルチモーダルのデジタル人「言犀」についてコスト減や効率化を果たしたと表明している。また、店側でSKUが50か所というシナリオを制作するのに以前は5時間以上かかっていたが、K-PLUGモデルを使えばボタン1つで完成するなど、スタジオ側での運営効率が大幅に向上している。
またコストについても、「言犀」のバーチャルインフルエンサーは本物の1/10で済む。パソコン1台と運営者1名以外に何も用意せず、100種以上の優れたイメージや音声が選択可能となる。大規模言語モデルによる文言が自動作成され、ボタン一つで商品をそろえ、フレキシブルなビジュアル性を作り出し、2時間以内で配信が可能となり、運営にかける労力も1日30分以下で済む。
先ごろは、デジタル人間の「京東雲言犀」と本物のインフルエンサーが空き時間をつないで「日は落ちず」を配信し、GMVは10億元(約213億円)以上に達している。
業界的に見てもデジタル人間は取り組みの重点となる。iiMediaによると、中国のデジタル人間に関する市場規模について、2022年は前年比94.2%増の120.8億元(約2579億円)で、2025年には480.6億元(約1.03兆円)となるという。デジタル人間に対するニーズの強さを業種別に見ると、2023年のTOP5はEコマース、衛生品、社会保障・社会福祉事業、教育、金融、交通運輸業となっている。特にEコマースで、バーチャルインフルエンサーはお金がかからず効率がいいので、店側にとっては販売アップが望めるものとなる。
(中国経済新聞)