水素エネルギー産業、上場会社は軒並み赤字

2024/04/14 17:30

中国では、水素エネルギー産業が今年の「政府活動報告」で最先端の新興産業として示され、業界内ではかなりの追い風となると見られた。また「第14次五か年計画」のガイドラインにも盛り込まれている。

水素は出所が豊富で、エコで低炭素であり、二次エネルギーとしての用途が広く、開発や利用で化石エネルギーへの依存度を軽減しエネルギー不足の解消に役立つほか、環境汚染を抑え脱炭素化を進めるものでもある。

しかし、国からの支援も手厚くなる中、関係各企業はどうも業績が芳しくない。一部の上場企業が発表した今年の決算報告によると、売上高はいくらか増えたものの、ほとんどが赤字を抱えている。産業自体が事業化を始めたばかりで、技術力も不十分でコストも高く、市場での受け入れも進まないなどといった問題を抱えている。

水素関連のある大手企業の社長は、「(水素エネルギー産業は)外から見れば明るく見えるが、その中に我々はよく知っている。ここ何年も儲けが出ていない」と言っている。

燃料電池の大手「億華通」や「国鴻氢能」は、2023年の決算を見ると、売上高は増えたが損益は赤字である。「億華通」は2020年の上場以来赤字が続き、その額も年々拡大しており、「国鴻氢能」は売上高・純利益ともに低下傾向にある。

さらに業界内で、このところIPO計画を断念する企業も相次いでおり、資本市場で水素エネルギー産業の定着が進んでいない様子が分かる。これらの企業は上場を断念した理由について、多くは市場環境など挙げており、最近上場をあきらめたある企業の社員は、「それも理由の一つ」と述べている。

業界内では、技術開発に力を入れ、コストを削減し、利用の場の拡大を続けるほか、国からの支援や市場の育成を強化し、産業を健全で持続可能なものにしなければならないと見られている。

水素は現在、生産や保管にコストがかかり、これによる製品も価格上昇で従来型エネルギーに負けている。よって、生産工程の改善や設備効率の引き上げ、原材料コストの削減といった策を通じて生産コストをさらに引き下げる必要がある。また、インフラ建設の強化、保管や輸送の効率アップもコスト削減を進める大切な手段である。

(中国経済新聞)