中国の新興自動車メーカー「理想汽車」(Li Auto )は4月22日、2024年版の「L7」、「L8」、「L9」、「MEGA」について全面的な値下げを発表した。新規の注文分のほか、注文済みで未納の分も対象となり、さらには納車済みの客に対してはキャッシュバックをするという。
車種別の値下げ幅を見ると、「L9」は全シリーズで2万元(約43万円)、「L7」と「L8」は1.8万~2万元(約38万~43万円)、「MEGA」は3万元(約64万円)となっている。これら各車は2024年3月1日に発売されたもので、のちに「L7」と「L8」については名称をそれまでの「Air」、「Pro」、「Max」から「Pro」、「Max」、「Ultra」に、「L9Max」は「L9Ultra」に変更している。
理想汽車は2023年、Lシリーズ3タイプを頼りに納入台数37.6万台を数え、新興メーカーでトップであった。ところが、期待されていた「MEGA」は、世論の逆風もあって売れ行きが芳しくなく、2024年第1四半期の予想納入台数は当初の見積もりから約2.4万~2.5万台も少ない7.6万~7.8万台に下方修正している。
競争の激化も理想が値下げに踏み切った理由の一つである。年初のBYDから始まって、業界全体が値下げラッシュに陥り、スマホメーカー・シャオミの新車発売の後で、「問界」(AITO)など多くのメーカーも値下げに走り始めた。理想は「MEGA」の不振や全般的に販売台数が頭打ちになったことで、販売増が見込めなくなっている。
理想汽車は、2024年第1四半期の販売台数が前年同期より52.9%も多い8.04万台であったが、問界の8.58万台には及ばなかった。品目別に見ると、最も多かったのが「L7」で3.28万台、以下「L8」が2.40万台、「L9」が2.09万台となっている。
理想は最近、Lシリーズ4種目となる「L6」を発表した。最低価格はこれまでで最も安い24.98万元(約533万円)で、同社として初めて25万元(約534万円)を切った。「L6」は外観的には「L7」、「L8」、「L9」と似ており、ボディーサイズは「L7」に近いが、スペックは幾分異なる。「L6」と「L7」が競合関係になりそうなことも今回の値下げの理由と見られている。
理想はこのほど、価値の横展開の簡略化や意思決定の質と効率の引き上げを目指して組織替えをした。またCEOの李想氏は、社内あてのメッセージで、「市場や運営面の課題を克服するため、販売台数でなく利用者の価値や経営効率を重要視していく方向に変えなくてはならない」と表明している。
(中国経済新聞)