ベンツ、5年間で中国に研究開発費2000億円超を投入 世界に報いる段階に

2024/04/25 20:30

ドイツの自動車メーカー「メルセデス・ベンツ」のOliver Löcher副社長は4月19日、上海研究開発センターの除幕式で、「中国でイノベーションを加速させ世界の事業をけん引する。また中国のテクノロジー会社との提携を深める」と述べた。ベンツは、電動化やインテリジェント化などの研究開発を中心に、この5年間で中国に計105億元を投資しており、中国のスタッフがドイツ以外で最もトータル的な開発力となっている。

ベンツの中国での研究開発ネットワークは北京と上海が中心で、先進的デザインや電動化、インテリジェントキャビン、自動運転、車両試験などが対象である。メルセデス・ベンツグループのフベルトゥス・トロスカ取締役(Hubertus Troska)は、上海の研究開発センターの格上げは、中国での研究開発が第3段階に入ったことを示し、中国での技術の開発や世界へのサポートに取り組んでいく。ベンツは中国で研究開発を始めた2005年から戦略を常に進化させ、中国向けにデザインした製品を送り込み、世界での影響力を徐々に拡大していった」と指摘した。

ベンツは今後中国で、車載OS「MB.OS」の開発や、プラグインハイブリッド用電池、自動運転技術などを手掛ける。車のインテリジェント化や電動化が進んでいることで、中国のメーカーやサプライチェーンは電池やソフトウェアなどで優位に立ち、自動車業界は国内での競争の激化やマーケットニーズの急激な変化を受けて即応力が高まっている。

こうした中で、海外の自動車メーカーや仕入れ元の各社が中国での研究開発に力を入れ、中国メーカーとの提携を拡大している。VWは小鵬汽車(Xiaopeng)と、中央コンピューターアーキテクチャーを共同開発することで合意したほか、安徽省合肥で研究開発やイノベーションの拡大に向けて25億ユーロ(約4118億円)を追加投資する。また、アウディ、トヨタ、マツダ、フォードなども、中国の技術プラットフォームでの新エネ車の開発を目指して現地企業との連携を進めている。

中国メーカーは技術メリットや市場規模に支えられ、EVを急成長させ、世界の自動車産業における影響力をじわりと拡大している。サプライチェーンの専門家は、「インテリジェント化や電動化の技術や利用場面について中国は明らかに優位な立場にあり、中国で開発された製品や技術が世界的に影響を与えるようになった。自動車産業のイノベーションで中国が中心の座に位置している」と指摘している。

(中国経済新聞)