広東省深セン市は第1四半期、貿易総額が前年同期比28.8%増の1兆200億元(約2.18兆円)となり、この時期として10年ぶりの1兆元越えを果たした。好調を維持している越境ECが大幅増の原動力となっている。
貿易の中身を見ると、輸入額が29.9%増の3778.5億元(約8.07兆円)、輸出額は28.2%増の6424.4億元(約13.7兆円)で、輸出は中国本土での都市別でトップとなった。また総額では広東省全体のほぼ半分を占めている。貿易の相手先別に見ると、上位10地域でいずれも増加しており、中でもASEANについては38.4%も増えて1656.4億元(約3.54兆円)となっている。
さらに深センは、「一帯一路」の沿線各国との貿易額が35.1%増えて3678.2億元(約7.85兆円)であった。輸出の品目を見ると、機械製品がやはり最も多く、金額は14.4%増の4389.9億元(約9.37兆円)であった。このうち携帯電話やパソコン、家電製品などが17.8%増の836.6億元(約1.79兆円)となっている。
また、労働集約型の製品の輸出額は861.6億元(約1.84兆円)で、伸び幅は61.7%であった。この中で、アパレル製品が51.7%、家具が135.9%の大幅増を果たした。「主力3分野」であるアパレル、家具、家電については、貿易都市である江蘇省蘇州や浙江省杭州などでも成長が望めそうな勢いである。
さらに、深センの貿易の形態を見ると、越境ECが引き続き好調であり、第1四半期の取引額は同時期で過去最高となる1100億元(約2.35兆円)以上、中国全体の19%を占めるに至り、伸び幅はほぼ倍増している。深セン市商務局は、越境ECのオンライン総合サービスアプリにフルモデルの透明化公共サービスアプリを新設し、企業向けに「税関、為替、納税、貸付」のワンストップサービスを実施している。
越境ECで取引される主な商品は、ファーウェイの携帯電話、DJI のドローン、影石(Insta360)のパノラマカメラ、韶音(Shokz)の骨伝導イヤホンなどであり、世界的に売れ行き好調のため深センの越境ECの産業規模拡大をもたらしている。また深センは、Tiktok、京東国際、アリババなど国内大手や、東南アジアのショッピー、ロシアのOzon、アフリカのJumiaなど、海外の通販サイトが現地法人を設けており、この分野における世界的影響力が一段と高まっている。
(中国経済新聞)