中国芸能界のおしどり夫婦、鄧超(ダン・チャオ)と孫儷(スン・リー)の愛の軌跡

2023/02/2 20:32

90年代の卓球中国代表を描いた映画「中国乒乓之絶地反撃」(Ping-pong of China)が、昨年末より中国で公開されている。人気俳優の鄧超(ダン・チャオ)と脚本家の兪白眉(ユー・バイメイ)が2019年の映画「銀河学習塾」以来2年ぶりに共同で監督を務め、劇中でダン・チャオと妻の孫儷(スン・リー)が夫婦役を演じ、公開前から大きな話題となっていた。

ダン・チャオと妻のスン・リーは中国芸能界きってのおしどり夫婦として知られている。2人は、2005年に放送されたテレビドラマ「幸福像花児一様(幸福は花のように)」で初共演。劇中では不仲な夫婦役を演じた2人だったが、この作品がきっかけでその後交際へと発展した。

テレビドラマ「幸福像花児一様」で初共演

スン・リーは1982年生まれの40歳。小学1年生から舞踏を習い始め、16歳で舞踏コンクールの最優秀賞に輝いている。20歳の時には、演技未経験にも関わらずテレビドラマ「玉観音」の主役に抜擢され、同作がヒットしたことで、その名が瞬く間に知られるようになった。

女優として順調に見えたスン・リーだったが、心の中では人知れず寂しい思いをして育った。12歳の時に父親が出奔。母は2つの仕事をかけ持ちし、娘に舞踏を続けさせるため朝から晩まで必死に働いた。家は地下にあり、暮らし向きは一向に良くならなかった。スン・リーも母親を支えるため、誰よりも早く大人にならなければならならず、芸を磨くため一層舞踏に打ち込んだ。父親はすぐに新しい家族を作り、娘にさえも連絡をしなかった。スン・リーの心には父親への複雑な思いが残り、同時に母を守らなければという使命感から一生結婚はしないと決めていた。それが、ダン・チャオとの出会いによって少しずつ変化していく。

女優スン・リー

一方、ダン・チャオも厳格な父親への反発から、一時は不良に染まった時期があった。少年時代に、父親との確執を経験していた彼にとって、スン・リーの強さの裏にある寂しさを感じ取るのは難しくなかった。ダン・チャオは誰にも甘えたことのないスン・リーが、徐々に自分に心を開き頼ってくれるよう、持ち前の明るさで笑わせ、時には料理を作って励ました。2007年、スン・リーがドラマの撮影で上海に帰った時、長い間会っていなかった父親に偶然再会した。髪が真っ白になり歳を取った父親の姿に、憎んでいたはずの心が痛み話しかけることさえできなかった。ダン・チャオは悲しむスン・リーを見て、この世に娘のことを想わない父親なんていない。きっとお父さんも何かやむ得ない事情があったのだろう、と伝えた。それから間もなくして、昔お金がなく地下の家から追い出されそうになった時、4000元が突然届いたことを思い出した。そしてそのお金は、父親と再婚相手が寝る間も惜しんで皿洗いをして稼いだお金だと知った。ダン・チャオはスン・リーに内緒で彼女の父親に会い、その後、父と娘の長年の断絶も徐々に穏やかな関係へと変化していった。

結婚13年目を迎えたおしどり夫婦

2010年に結婚したダン・チャオとスン・リーは、今年で結婚13年目を迎えた。今は2人の子供にも恵まれ、幸せな家庭を築いている。また2005年の初共演以来、今までに大ヒットドラマ「甜蜜蜜」やチャン・イーモウ監督の「影武者(SHADOW)」など7作品で共演し、ここ数年ダン・チャオは監督としても高く評価されている。

家族写真

多忙な日々を送りながらも、2人のS N Sには相手を思いやり、家族を愛する言葉が溢れている。この2人を見ると、いつも幸せのお裾分けをしてもらっているようで、気持ちがほっこりする。

(中国経済新聞)