2025年、中国の国内観光市場は本格的な回復局面を迎えた。文化・観光部の発表によると、2025年の国内旅行者数は延べ65億2200万人に達し、前年より16.2%増加した。こうした市場環境の改善を背景に、観光関連企業の業績回復が期待されたが、中国本土株式市場に上場する観光企業が公表した2025年度業績予想を見ると、企業間で明確な差が生じている。
業界全体は回復基調にあるものの、各社の業績は事業構成、保有する観光資源、さらには一時的な損益の有無などによって左右され、異なる軌道をたどっている。
黒字企業は増加も、大手では成長鈍化が顕在化
2月5日までに、観光地運営、ホテル、総合観光分野で20社以上の上場企業が業績予想または速報を発表した。全体としては、黒字企業と赤字企業がほぼ半数ずつとなり、「大手企業は収益圧迫、中小企業は赤字継続、分野別の業績格差が拡大」という傾向が浮き彫りになっている。
中青旅、宋城演芸、陝西旅遊、三峡旅遊、南京商旅など10社以上が2025年の黒字を見込んでいる。旅行会社およびオンライン旅行サービス分野では、中青旅、凱撒旅業、衆信旅遊、嶺南控股の4社が、いずれも最終利益が黒字になる見通しを示した。
出入境観光の着実な回復を背景に、中青旅は観光商品・サービス収入を伸ばし、2025年の売上高は113億3900万元と(約 2381億円)、初めて100億元を突破した。一方で、親会社株主に帰属する純利益は8388万元(約 176億円)となり、前年から47.72%減少した。会社側は、利益率の低い事業の比重が高まったことに加え、観光地運営事業での競争激化や天候要因、投資収益の減少が利益を押し下げたと説明している。
一時的要因による黒字転換も
経営再建を経て「特別処理銘柄(ST)」指定が解除された凱撒旅業は、2025年に黒字転換を見込んでいる。純利益は3200万~4800万元(約 67億~101億円)と予想され、前年の赤字から大きく改善する見通しだ。ただし、業績改善の主因は、子会社関連の訴訟和解による引当金戻入や、張家界観光(旧張家界)への再建投資に伴う評価益など、一時的な利益によるものが大半を占めている。
一方、衆信旅遊と嶺南控股は減益見通しとなった。衆信旅遊は、繰延税金資産の取り崩しや、国際情勢の変化による競争激化を背景に、純利益が前年から95%以上減少するとしている。
観光地運営企業では回復と減速が交錯
桂林旅遊と大連聖亜は、ともに赤字からの脱却を見込んでいる。桂林旅遊は、来訪者数の増加に加え、子会社株式の売却や未回収債権の回収による一時的利益が寄与し、黒字転換を果たす見通しだ。
一方、人工的に演出されたテーマ型観光地を主力とする宋城演芸は、売上高・最終利益ともに減少が予想されている。軽資産モデル事業における収益認識時期の影響に加え、地域間競争の激化や人件費などのコスト上昇が重なったことが要因とされる。
総合観光企業は依然として厳しい状況
総合観光分野では、業績低迷が続いている。雲南旅遊は赤字幅が拡大し、西安旅遊、曲江文旅、天府文旅なども赤字継続の見通しとなった。中でも西安旅遊は、期末の純資産がマイナスとなる可能性があり、監査結果次第では上場廃止に関するリスク警告が付される恐れがある。
回復局面でも問われる企業体質
2025年は観光市場全体として回復の年となったものの、上場観光企業の業績は一様ではない。短期的な需要回復だけでなく、安定した収益構造や持続可能な事業モデルを構築できるかどうかが、今後の企業価値を左右する重要な分岐点となりそうだ。
(中国経済新聞)
