中国スポーツ用品大手「李寧」、コーヒーに進出

2022/05/13 15:32

中国の若者たちに欠かせない、おしゃれな暮らしの象徴ともなったコーヒー。中国では、2013-2018年にかけてコーヒーの市場規模が年平均で30%以上も成長し、2023年には1806億元(約3兆4202億円)となると見られている。

郵便局内にもコーヒー店が設けられ、さらにはスポーツ用品大手の「李寧」もコーヒーを売り始めた。

4月30日、福建省アモイの中華城で、李寧のフラグシップ店がオープンした。3階建てで2000平方メートル以上の売り場に李寧ブランドの商品がずらり並んでいる中、ひときわ目を引いたのが、新店舗としてこれまでになかった「寧珈琲」という休憩コーナーである。499元以上の買い物をすれば、レシートと引き換えで入れたてのコーヒーが味わえる。

コーヒー専門店であるスターバックスは店舗数が国内5000店、ラッキンコーヒーは6000店であるが、李寧は現在7137店もあり、この点を見てもかなりの成長が期待できそうである。

ただ、スポーツ用品の李寧がコーヒーを扱うことに違和感を覚える向きもある。「店でシューズサイズの入ったカップに注がれたコーヒーを飲みながら、座って靴を脱いだりはいたり、なんて見たくないね」と冗談交じりに言う客もいた。

李寧がコーヒーに手を付けた理由は何か。

営業やブランド面から見れば、「花を添える」ようなものである。若者たちに人気の国産スポーツブランドによるコーヒーの販売、これには戦略的アイデアや今後の狙いなども込められている。既存のブラント性に加え、スポーツウェア自体から脱却した、若者世代のライフスタイルを醸し出そうという期待である。

ただし、ある意味で、経営負担を軽減しようという狙いからの取り組みではないか、と見る向きもある。

李寧が発表した最新の業績報告によると、2021年の売上高は前年比56%プラスの225億元(約4262億円)で、同じく利益は136%プラスの40億元(約757億円)、ともに予想以上であった。しかし販売費用も前年より44%増えて106億元(約2007億円)、さらに広告や市場開拓への出費が39%増の17.8億元(約337億円)となっている。

(中国経済新聞 吉川綾乃)