今回の北京滞在で初めて迎えた週末、朝早くにマラソンシューズを履き、シェアサイクルにまたがって市民ランナーの集う公園に向かった。
- 新しくできた「龍潭中湖公園」。
北京市中心部に「龍潭公園」という有名な公園があり、その園内に1周2.5㎞弱の道路があって、以前は私も含めて地元のランニング愛好者たちが汗を流していた。私が北京を去った2022年に、本格的ランニングコースのある「龍潭中湖公園」がそのすぐそばに完成し、今は地元市民ランナーの新たなメッカになっている。
- 1周2600メートルのランニングコース。右側にはラバーが敷かれ、「このレーンはランナー優先」と書かれている。
この日は軽く3周ほど走った後、それぞれ走り終えた仲間たちが歓迎のしるしに1周のジョギングに付き合ってくれた。
- 仲間たちと一緒に公園内をジョギング。(右が筆者)
- 顔なじみのランナー仲間たちが集まった。(中央が筆者)
写真のメンバーは平均年齢およそ60歳だが、みなフルマラソンを余裕で完走できる力を持つ。私は北京マラソンに13年連続で参加しており、自己ベストは2010年大会の3時間24分である。走力はだいぶ衰えてしまったが、こうしてみんなが温かく迎えてくれた。
- 王漢民さん(左)。かつて毎週末一緒に25㎞のロードワークをした仲間だ。
王さんは今年10月末の北京マラソンで、52歳にして3時間3分の自己ベストを打ち立てた。この日は朝5時半から北京の環状2号線1周計35㎞を2時間43分で走り抜いたという。かつてはよきライバルだったか、今は実力的に完全に水をあけられてしまった。それにしても、とても52歳には見えない。
ちなみに「自己ベスト更新」は中国語で“刷了PB”といい、PBはパーソナルベストのことである。動詞の“刷”は最近の中国語でよく使われ、辞書に載っていない意味も多い。“刷手机”は「スマホをいじる」という意味で、“少刷手机”は「スマホ利用は控えめに」となる。また“刷卡”はカード払いまたはカードタッチで、その際にカードが何らかの理由で使えなかったら、係員に“刷不上”と言えばよい。
ひと汗流したあと、仲間たちが昼食に誘ってくれた。
- 公園近くの料理店で本場の中華を堪能した。(中央が筆者)
この写真の左は15年以上の付き合いである袁立竹さん。60歳をとうに過ぎたが健脚は衰えず、今年の北京マラソンは3時間29分で完走、今も月間走行距離は400㎞という。私にとって彼は最も親しいランナー仲間である。
その袁さんがご馳走してくれた料理は以下の通り。
- “宫保鸡丁”、日本語では「鶏肉のカシューナッツ炒め」と訳されているようだ。
“宫保鸡丁”は日本人の口に合っており、私の大好物でもある。ただし日本では一般の中華料理店には少なく、かなり本格的な店に行かないと食べられない。しかしこの日の味はやはり本場であり、日本で食べる物とは比べ物にならない美味しさだった。
- イシモチの姿揚げ。
イシモチは日本では大衆魚だが、中国では意外と値が張る。このように同じ食べ物もところ変われば価値も随分違う。逆にメロンは日本では高級品だが、中国では “哈密瓜”(ハミウリ)という、似たような果物があり、スーパーで安く売っている。マツタケも中国ではぜいたく品というイメージはない。
翌日は、また朝から家族で市内を散策した。
- ちょっとどぎつい色の列車が通過。
列車好きの子供と一緒に再び線路沿いに行った際に目にした「緑の新幹線」のような列車、中国語で“绿巨人”という。実はこれ、寝台電車である。
- マクドナルドのタッチパネル式注文画面。
ファストフード店はみなこのようなマシンがあり、“开始点餐”を押して注文し、支払いもキャッシュレスである。店員の対応も概しててきぱきしている。
さて、北京滞在期間も残り少なくなってきた。次号は街中で何気なく見かけたものを中心にご紹介しよう。(文・写真:森 雅継)
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【筆者】森雅継、東京都出身、早稲田大学商学部卒。北京在住歴17年で中国人の妻との間に2児、現在は家族4人で北海道札幌市に在住。