中国共産党20回大会が終わった。
メディアは「異例の3期目へ」「権力集中」といった論調一色となった。それを越える深い考察の希薄なことは日本の行くべき道を考える際、決して安堵できるものではないという思いを強くする。
今号は「党大会」にかかわる特別編集となると聞いた。予定していたテーマは別にあるので、党大会についてはそれらの記事に譲ることにする。ただ、メディアがこぞって語る「最高指導部」をはじめとする指導体制についてひと言だけ述べれば、習近平総書記「乾坤一擲」の人事という感慨を強く抱く。その基底には、米国による中国への対決姿勢の一層の強化による「米中対立」の深刻化があることは言うまでもない。賛否、好悪、受けとめはさまざまとしても、そうした世界的、時代的背景の中で、中国の社会主義は「新たな段階」へと踏み出したのだということは、冷静に知っておかねばなるまい。
さて、本来のテーマである。
見なければよかった、しかし、見ておかなければならなかった…。
番組を視聴し終わって、実に後味の悪い感想であった。
日中国交正常化50年ということで、今秋はさまざまな番組が放送された。そんな中、NHKBSプレミアムで放送された「日中2000年戦火を越えて」(前編、後編)は注目して視聴した番組の一つであった。「後味の悪い」というのはその後編「周恩来の決断“民を以って官を促す”」(10月1日放送)をめぐってである。