2020年10月、34歳の機長が12年間勤めた中国国際航空(以下:エアチャイナ)を退職したが、エアチャイナはこれを裁判所に提訴し、1,066万元(約2.1億円)の賠償を求めた。
この案件は一審、再審と続き、2022年7月14日、北京で最終判決が下され、機長はエアチャイナに訓練費用として210万元(約4200万円)の賠償を命じられた。
エアチャイナは、機長の養成には最低でも600万元〜800万元(約1.2億円〜1.6億円)の費用がかかるという。訓練規定によると、パイロットは一般的に航空学校の学部で学び、航空会社に到着後、まず入社前訓練を2カ月以上受け、合格後、少なくとも半年以上の副操縦士訓練と試験を受ける。その後、機長試験を受けるまでには、第一副操縦士や第一操縦士の訓練や試験など、複数の関門がある。実際に、一人のパイロットを養成するのに10年以上にも及ぶことがほとんどで、さらにパイロットは毎年、特殊な状況や特殊な天候のための訓練を受けなければならず、このため機長は訓練違約金533万元(約1億)と訓練料533万元(約1億)、合計1,066万元の損害賠償を請求された。
機長の第二審での訴えは、エアチャイナとの間には専門的・技術的訓練に関する契約はおろか、それに対応する勤務期間についての合意もなく、雇用契約の期間と訓練契約による勤務期間は等しくないこと。更に、エアチャイナは、特別訓練の請求書、振込伝票などの支払い証明を提出しておらず、エアチャイナが彼が受けた訓練に対する支払いを行ったことを証明することは不可能であると主張した。
北京市第三中級人民法院は、本件の事実関係と、中国民用航空局の関連規定を参照した上で、機長がエアチャイナに210万元の訓練費を支払うべきと判断した第一審の裁量に誤りはなかったと判断した。 判決内容:控訴を棄却し、原判決を支持。
(中国経済新聞)