中国、合法なレアアース輸出申請には許可を付与へ

2025/06/8 07:30

6月5日、中国商務部の定例記者会見で、報道官の何咏前(か・えいぜん)氏は、レアアースなど軍民両用(デュアルユース)物資に対する輸出管理について「国際的に通用する慣行である」と述べたうえで、「中国政府は法と規則に基づき申請を審査し、規定に合致する申請については許可を付与する」と明言した。これは、合法的な取引を促進・円滑化する姿勢を改めて示すものである。

記者会見では、英国『フィナンシャル・タイムズ』の記者から「中国のレアアース輸出許可の審査が遅く、生産停止に追い込まれる欧州や日本の企業が出てきている」との指摘があった。

これに対し、何報道官は「レアアースなどの物資には軍事・民間双方に利用可能な性質があるため、輸出管理は国際的に一般的な措置である」と強調。「中国政府は法的枠組みに基づいて審査を行っており、規定に合致する申請は許可する」と述べた。

つまり、中国側としては輸出を全面的に制限しているのではなく、安全保障に配慮しつつも、正当な貿易には引き続き門戸を開いているという立場を取っている。

同じく記者から、「アメリカが中国へのエタン(天然ガス由来の化学原料)輸出を停止し、他の措置も講じているのは、中国によるレアアース輸出管理への報復ではないか」との質問も投げかけられた。

これに対し、何報道官は「5月12日に発表された『中米ジュネーブ経済貿易協議共同声明』に基づき、中国は責任ある態度で合意を真剣に履行してきた」と述べたうえで、「米国側は協議後も中国に対して一連の制限措置を取り続けており、既存の共通認識を破壊し、中国側の正当な利益を著しく損ねている」と強く非難した。

そして、「中国はこれに対し強い不満と断固たる反対を表明しており、米国が一方的に行動を続けるならば、中国は正当な権利を守るために強力な対抗措置を講じる」と警告した。

一方で、6月6日、アメリカのトランプ大統領は記者の質問に対し、「中国の習近平国家主席が、アメリカ向けのレアアース輸出を再開することに同意した」と発言した。これは中米間の対話の一部であると見られているが、中国側からの公式な確認は現時点で出ていない。

この発言が事実であれば、一部の供給は再開される可能性があるが、全体としてのレアアース政策の根幹に変化があるわけではなく、「安全保障と法的審査に基づいた管理」は今後も継続されるものと見られる。

レアアースは、ハイテク製品から軍事装備に至るまで広く使用される戦略物資であり、その供給の多くを担う中国の輸出管理は、国際的にも大きな注目を集めている。中国は一貫して「法と規則に基づく正当な管理」であると主張しており、その姿勢に変化はない。

しかしながら、地政学的な対立が深まる中で、レアアースをめぐる輸出・制裁・報復の連鎖が続く可能性も高い。今後の焦点は、「対立の激化」ではなく「信頼の回復」に向けて、各国がどのような枠組みで安定した資源供給と国際協調を模索するかにかかっている。

(中国経済新聞)