中国、党政機関による「一般的な海外視察」を全面禁止へ

2025/05/23 11:30

中国共産党中央と国務院は5月18日、改訂された「党政機関厳格な節約および浪費防止条例(条例)」を発表し、全国の各地域および各部門に対して、厳格な順守を求める通達を出した。今回の改訂では、公費による海外出張や視察に対して、かつてないほど厳格な管理措置が導入された。

条例では、党政機関に対し、「一般的な出国考察・交流・調査研究活動を組織してはならない」と明確に規定された。また、「慰労目的や内容の乏しい出張」も禁止され、人気観光地を訪問先とする集中出張の実施も厳しく制限されている。**公費を用いた「変則的な海外観光」**を一切認めない姿勢が示された。

さらに、出張計画は年間単位で厳密に統括され、訪問国の数、出張人数、滞在日数も制限対象となる。出国は個人の待遇や順番で「回す」ものではないという立場が強調され、公費による出張を「特権」や「ご褒美」にする風潮に歯止めをかける狙いがある。

加えて、組織人事部門や外国専門家関連部門は、出国研修に関する統合的な計画と監督を強化し、対象者の選定や研修内容の質を高めるよう求められている。

外事管理当局に対しては、規定違反のある出張団については計画の調整・取り消しを行うことが義務付けられ、より実質的な審査権限が付与された。

経費面においても、新たな予算がない限り承認しない「経費先行審査制度」の徹底が義務化された。また、海外出張に関して所属機関や企業、在外機関に費用を転嫁することは禁止され、財務の透明性と責任が強く求められる内容となっている。

出張時には、交通手段や宿泊、食事などにおいて定められた基準を超える行為は禁止され、民間チャーター機や高級ホテルの利用、公費による贈答や相互宴席も厳しく制限される。

最後に、条例では公費出国時の金銭・高級品の授受、過剰接待、海外賭博への参加などを明確に禁止しており、海外での規律違反行為にも厳しい目を向けている。

今回の改訂は、経済状況の変化とともに、党政機関における財政規律と公務の実効性をより重視する中国政府の方針を反映しているといえる。今後、公務出国における透明性と実効性が一層問われることになりそうだ。

(中国経済新聞)