深圳投資会社が破綻、董事長が英国へ逃亡

2025/05/7 17:26

中国深圳市に拠点を置く投資会社、広東金钥匙控股集団(以下、金钥匙集団)が、深刻な財務破綻(「爆雷」)に直面し、大きな注目を集めています。報道によると、同社は総額13.4億元(約265億円)の資金を扱っていましたが、そのうち仮想通貨投資での損失が6900万元(約13.6億円)に上り、資金が完全に枯渇したとされています。金钥匙集団の董事長である林春浩氏は、すでに英国へ逃亡し、微信の企業グループ内で公開した「告別信」で資金の全額消耗を認めました。現在、深圳市公安局福田分局の経済犯罪捜査チームが同社に対し捜査を開始しています。

金钥匙集団の投資家は、主に親戚や友人からの紹介を通じて同社に接触した人々で、投資額は10万元から数十万元に及びます。同社の典型的な手口は、まず業務員が投資や資産運用に関する講座を名目に潜在的投資家を集め、その後、高利回りを謳う投資商品の購入を勧誘するものでした。一部の投資家は、親戚の勧めで直接高利回り商品に投資したケースも報告されています。調査によると、同社はP2P(ピア・トゥ・ピア)融資プラットフォームとして運営され、集めた資金は仮想通貨や株式投資に投じられていたことが明らかになっています。

林春浩氏は英国での留学経験を持ち、工商管理と金融学の修士号および工商管理の博士号を取得した経歴を有します。帰国後は国内の大手企業コンサルティング会社で金融戦略コンサルタントとして活躍し、金融商品の開発や戦略的プロセス管理に従事しました。2014年、家族企業を継承し、家族の資源と傘下企業を統合して金钥匙集団を設立、董事長に就任しました。また、深圳市企業家協会の副会長を務め、複数のテレビメディアで経済評論家として活動し、世界経済、金融、企業管理、資産運用、インターネット技術などの分野で記事を発表してきました。

林氏の「告別信」では、集めた13.4億元の資金が顧客への利息支払い、従業員の給与、賃料、日常運営費用、借入金返済などに費やされ、自身の投資失敗により全額が失われたと主張しています。特に、仮想通貨投資での6900万元の損失や、過去のP2P融資の不良債権、株式投資の失敗が主な原因とされています。林氏は自身も7.15億元の損失を被ったと述べ、詐欺行為は否定しつつ、責任は自分一人にあると強調しました。

この事件は、投資家にとって壊滅的な打撃となりました。ある投資家は、2022年に50万元を投資し、今年3月まで月次配当を受け取っていたものの、未回収の元本が190万元に上ると語っています。投資家は、金钥匙が「国営企業」に関連する安定したプロジェクトに資金を投じていると説明されていたため、信頼していたと振り返ります。しかし、実際にはそのような裏付けはなく、弁護士からは違法な資金調達の疑いが指摘されています。

金钥匙集団の破綻は、中国のP2P業界や仮想通貨投資のリスクを改めて浮き彫りにしました。投資家は現在、法的手段を通じて権利保護を図るべく、警察への届け出や証拠の収集を進めています。

(中国経済新聞)