バイドゥのAIがアップルを「もぎ取り」との情報 AIスマホ元年の到来か

2024/03/29 11:00

3月22日、中国のネット検索最大手「バイドゥ」の大規模言語モデルである「文心一言」が、アップルのiPhoneの新機種に搭載されるとの情報が流れ、バイドゥの株価がアメリカで一時6%値上がりした。終値では香港株が2.55%上昇して100.7香港ドル(約1949円)となった。アップルが今年発表する中国版iPhone 16と、MacおよびiOS 18に対してバイドゥがAI機能を提供し、アップルがAPIポートにより料金計算する予定と伝えられた。また、アップルは以前にアリババとともに中国の別の大規模言語モデル会社と接触したとの情報もあるが、今のところ公式発表はない。

この情報は、アップルのCEOであるティム・クック氏の訪中時に伝わった。クック氏は「中国発展ハイレベルフォーラム」で、中国のAI企業との提携について問われた際に、様々な分野で提携する予定と述べたが、相手先名までは言わなかった。クック氏は、中国に応用研究所を設けていると述べ、さらに中国に対する親しみや期待度も表明した。

アップルはこのほか、Geminiモデルについてグーグルと交渉し、さらには間もなく発売予定のiOS 18に生成AIを搭載するため、OpenAIと提携の可能性を探っているとも伝えられている。しかし今のところ、生成AIの提供先と提携合意をしたとは発表していない。

業界関係者によると、アップルは中国で行動する際には現地の法に従う必要があるが、中国の大規模言語モデル開発会社と手を組めば、提供するAIサービスが法的基準を満たせるようになるほか、APIポート方式によりパートナーも含めて柔軟な形での第三者へのサービス実施が可能となると指摘している。

バイドゥは、中国で早期に大規模言語モデルを手掛け始め、サムスンや栄耀(Honor)などスマートハードウェアのメーカーと提携している。バイドゥの最新の決算報告によると、「文心一言」の利用者数は1億人を超え、37億文字のテキスト作成、3億行のコード出力、累積4億文字の専門契約処理、500万回の旅行計画立案を達成したという。

その一方で、アップルは中国で売り上げを落としている。最新の決算報告では、中華圏の売上高は前年比12.91%マイナスであった。アップルは、年内には生成AIの利用予定を一段と明らかにするという。クック氏は、「AIへの投資は、ユーザーに生産力を与え、問題解決について革新的なチャンスをもたらすことが狙いだ」と強調している。

スマートハードウェアについては、生成AIがブームである今、AIのスマホやPCが焦点となる。マーケットの予想では、2024年は世界のスマホ出荷数のうちおよそ5%にあたる6000万台がAI計算力を備えたものとなるという。またIDCの予測では、世界のPC出荷台数のうちAI搭載機種の割合が2027年までに60%近くに達するという。

(中国経済新聞)