「低空経済」レベルアップ 技術革新からエコロジー形成へ

2025/07/27 07:30

7月23日から26日にかけて上海で、「2025国際低空経済博覧会」が行われた。

出展した300社近い国内外の企業の中で、40年近くにわたり軌道交通の制御を手掛けている卡斯柯信号(Casco)は、事業範囲を低空分野に広げて空の管制システムを開発している。空域モデルのデジタル化や流動制御の計画、スマート運行制御などを通じて「計画-手配-監視-オペレーション」といったトータルフローを作り、「移動閉塞」の理論から飛行物体向けに「4次元安全包絡-立体飛行間隔-空中移動権限」という飛行安全制御を追跡する仕組みを整え、速度別に管理することでそれぞれの機体を適確に飛行させるものである。

上海特金信息科技は、TDOA(到着時間距離)を都市部のドローン制御に活用し、マルチな技術を融合させた低空安全管理体系を造り、5G-AやRID(リモートID)など様々な機能を取り入れて、対象物の正確な把握を実現した。

上海傲世控制科技(略称「傲世控制」)は、光ファイバージャイロスコープ(FOG)をドローンに導入して「衛星に依存しない目」としている。今後はさらに市場を開拓して、基幹部品の国内製造化を果たし、FOGの年産能力を10万~30万本とする予定である。

また今回の博覧会では、ユナイテッドエアクラフトの同軸無人ヘリコプターTD550が「花形機種」となった。同社の孫立業副社長によると、最大荷重200キロ、連続飛行時間は6.5時間で、最高高度は6500メートル、風力8でも飛行が可能という。浙江省の舟山から東極島までわずか30分で海産物を運べるようになり、船運に比べて75%もスピードアップする。また「緊急使命2025」という訓練で重さ50キロの消火弾4発を運び、「調査・消火」の二役を担って森林火災発生時に十分に役立つものとしている。

ユナイテッドエアクラフトは今回さらに、世界初の6トン級ティルトローター機「R6000」も披露した。孫副社長によると、「ヘリコプターの垂直離着陸と固定翼機の高速巡航性を兼ね備えたもので、滑走路を必要とせず、飛行距離は4000キロメートルで積載能力は2トン」という。すでに地上での走行テストを終え、近々ヘリコプターとしての初飛行を実施予定である。これにより中国は、高荷重のティルトローター機の数少ない所有国となることが期待される。

このほか、上海峰飛航空科技(オートフライト)の5人乗りeVTOL(電動垂直離着陸機)「盛世竜」が将来の交通手段と目されている。飛行距離は200キロメートル、巡航時速200キロメートルで、去年2月に深センから珠海までの52キロをわずか20分で飛行し、地上交通に比べて所要時間が85%もカットしている。目下、開発も試験飛行も順調に進んでおり、2026年にライセンスを取得して実用化する予定である。

博覧会では、上海空港グループなどの呼びかけで、華東に7か所ある民間ドローン操縦試験エリアや南京航空航天大学などによる「華東(長江デルタ地帯含む)低空経済産業連盟」が発足した。政策の研究や基準の策定、産学連携を目指すものである。

(中国経済新聞)