中国の家電量販チェーン大手「国美零售」(リテール)は1月18日夜、創業者で筆頭株主である黄光裕(Huang Guanyu)氏が完全所有するShinning Crownと国美管理の2社が債権者となって債務の株式化を実行すると発表した。Shinning Crownと国美管理が、国美零售への計7.8億香港ドル(約127.5億円)の融資額と、国美零售から国美管理への仕入れ代金1.1927億元(約22.5億円)の負債分を株式化する。これにより、国美零售への持株比率は、Shinning Crownと国美管理が約16.71%、黄氏およびその関係先が25.66%となる。
黄氏は立て続けに国美零售の株を売却している。国美零售が2023年1月2日夜に発表した債務の株式化実施案によると、広告料として約4.16億香港ドル(約68億円)の債権を有している寰亜国際資本が、0.1023香港ドル/株(2円/株)で国美零售の発行株を購入して持株比率を10.21%とし、黄氏とその関係先の持株比率はそれまでの21.53%から19.33%に減る。
またさらに、1月3日の香港証券取引所データによると、黄氏は2022年12月29日に国美零售の株式の約6404万香港ドル(約10.5億円)分を売却して持株率18.47%に落とし、さらに1月4日には15.68%、1月6日に14.84%、1月9日に13.32%、そして1月11日には10.79%まで削減した。
ところが今回の債務株式化が実施されれば、寰亜国際資本の持株比率が10.21%から8.51%となり、黄氏とその関連会社(Shinning Crownと国美管理)は10.74%から25.66%に増え、他の一般株主の分は79.05%から65.83%に減る。
国美零售に近いある業界関係者は「黄氏は筆頭株主の座を守ろうとしている」と言う。国美零售は株式化で債務を部分的に解消できる上、節約した現金で他の用途に使うことができる。こうした動きは関係先取引となるので、実行に当たり株主総会および香港取引所の上場委員会の許可が必要となる。
(中国経済新聞)