2025年12月18日は、グローバル貿易において最も注目される日付となる。海南島全体が封関運用を開始し、面積3.54万平方キロメートルの巨大な自由貿易港が正式に誕生する。この面積は香港の32倍、シンガポールの49倍に及び、野心的な目標を掲げる。それは、香港を超える自由な貿易環境を構築することだ。しかし、海南は本当にアジア太平洋地域における香港の金融・貿易の地位を揺さぶることができるのか?
12月18日の選定は決して偶然ではない。1978年12月18日、中国は第十一期三中全会で改革開放の歴史的プロセスを開始した。47年後の同じ日に、海南は新たな開放の章を開く。この時間の一致は明確なメッセージを伝える。海南自由貿易港は単なる政策実験ではなく、新時代の改革開放の重要な象徴だ。深圳経済特区から浦東新区、そして海南自由貿易港へと、中国の開放戦略は「点」から「面」へと広がる。
海南の封関の核心メカニズムは、以下の3つのフレーズで要約できる:
- 一線放開」:海外からの商品が海南に入る際、基本的にゼロ関税。
- 「二線管住」:海南から中国本土に入る場合にのみ税関手続きが必要。
- 「島内自由」:島内では商品と人の移動が完全に自由。
この制度設計の巧妙さは、海南の開放性を確保しつつ、本土市場の安定を維持することにある。実際、この仕組みは香港の制度よりも柔軟性が高いと言える。
このルールの下、海南島内では以下のことが実現する:ゼロ関税商品の対象が21%から74%に拡大し、6600品目に適用。企業所得税率はわずか15%(香港16.5%、中国本土25%)。個人所得税の最高税率は15%で、本土の45%を大きく下回る。離島免税ショッピング枠は1人当たり年間10万元。
2024年末までに、海南の離島免税の累計売上は2530億元(約4.8兆円)に達し、ショッピング利用者数は4600万人を突破した。この成長速度は、香港の小売業界も注目せざるを得ないほどだ。
多くの人にとって、海南は依然として「観光島」のイメージが強いかもしれない。しかし、データは海南が劇的な構造変化を遂げていることを示す。
洋浦港は今年の第1四半期、驚異的な成長を見せた。コンテナ取扱量が前年比47%増と急増し、香港の葵青碼頭(9.4%減)を圧倒した。通関スピードは香港より30%早く、倉庫コストは半分に削減された。最新のニュースでは、世界的な海運大手マースクがアジア太平洋の転送センターを洋浦港に移転する計画を発表した。
海南の航天産業も目覚ましい発展を遂げる。文昌発射場は商業衛星の打ち上げ注文が2027年まで埋まるほどの人気だ。特に、打ち上げコストは中国本土より30%安く、わずか2年で関連産業の規模は17倍に拡大した。
医療ツーリズムも急速に成長する。博鰲楽城では、欧米で承認されたばかりの新薬が海外価格の40%で利用可能だ。たとえば、「抗がん神薬」と呼ばれるCAR-T療法は、海南では60万元(約1200万円)で受けられるが、米国では300万元(約6000万円)かかる。この価格差が、海南を医療ツーリズムの新たなハブに押し上げる。
海南自由貿易港は、ゼロ関税、低税率、高い自由度という圧倒的な政策優位性を武器に、香港やシンガポールに匹敵する国際的な経済ハブを目指す。しかし、香港の金融・貿易における長年の地位や国際的な信頼性は一朝一夕には超えられない。海南が成功するかどうかは、インフラの整備、国際的な認知度の向上、法制度の透明性にかかっている。
2025年12月18日、海南は新たなスタートラインに立つ。これは中国の改革開放の新たなマイルストーンであり、世界の貿易地図を塗り替える可能性を秘める。果たして海南は「第二の香港」となるのか、それとも独自の道を切り開くのか。世界が注目する。(中国経済新聞)