中国国有企業、「増収減益」傾向が鮮明に 

2025/12/29 18:34

12月29日、中国財政部が発表した最新統計データによると、今年1~11月の全国国有及び国有控股企業(以下、国有企業)の営業総収入は前年同期比で1.0%増加した一方、利益総額は同3.1%減少する結果となった。この「増収減益」の傾向は、2025年の中国経済が直面する複雑な内外環境を如実に反映したものとして、注目を集めている。

財政部の発表資料によれば、1~11月の国有企業全体の営業総収入は前年同期比1.0%増となった。これは、11月単月の経済活動回復や一部産業での需要回復が寄与したとみられる。しかし、利益総額については前年同期比3.1%の減少となり、特に採掘業(鉱業)や一部伝統産業の利益圧縮が全体を押し下げた要因となっている。国家統計局が同日に公表した規模以上工業企業データでも、国有控股企業の利益総額が同1.6%減少していることが確認されており、国有企業部門全体の収益性が低下傾向にあることを示している。

この「増収減益」現象は、単なる一時的な変動ではなく、2025年中国経済が抱える構造的課題の表れと考えられる。主な要因として以下の点が指摘されている。

まず、原材料価格の高止まりとコスト上昇圧力だ。国際的なエネルギー・資源価格の変動が続き、特に石油・天然ガス、煤炭などの採掘業ではコスト増が利益を直撃している。国家統計局のデータでも、煤炭開採・洗選業の利益が同47.3%と大幅減、石油・天然ガス開採業も同13.6%減少と、資源系国有企業の業績悪化が顕著だ。これに対し、製造業全体では利益が同5.0%増加しており、セクター間の格差が拡大している。

次に、需要構造の変化と競争激化も大きい。伝統的な重工業・基幹素材産業では、国内需要の回復が緩やかである一方、新エネルギー・ハイテク分野へのシフトが進む中で、過剰生産能力の調整圧力が強まっている。国有企業は国家戦略を担う「国之重器」として、インフラ投資や設備更新に積極的に取り組んでいるが、それが短期的な利益を圧迫する側面もある。

さらに、マクロ政策の影響も無視できない。2025年は「十四五」計画の最終年であり、積極的な財政政策と適度な金融緩和が継続されているものの、減税・費負担軽減措置の影響で一部企業の税負担が軽減される一方、利益率自体は圧縮されている。また、資産負債率が前年比で若干上昇(10月末時点で65.2%、前年比0.4ポイント増)していることも、財務負担の増加を物語っている。

(中国経済新聞)