華人記念碑を解体され、パナマ政府が復元再建を命令 

2025/12/29 19:00

パナマ大統領府は12月28日、公式声明を発表し、アライハン市がパナマ運河西側のアメリカ大橋展望台に設置されていた「華人抵巴150周年記念碑」および中国パナマ公園を強制的に解体した行為を明確に批判した。同時に、記念碑を原位置に直ちに復元するよう指示を出した。

問題の発端は12月27日深夜から28日未明にかけて。アライハン市政府は「展望台の構造に安全上の懸念がある」ことを理由に、事前の通知や華人団体の同意を一切得ないまま、重機を投入して中巴公園と記念碑を完全に解体した。この記念碑は2004年に華人団体が自費および中国政府の支援を受けて建立したもので、1854年に最初の華人がパナマに到着し、両洋鉄道建設に参加して150周年を記念するものだった。中華風の建築様式を基調とし、石獅子や牌坊などの要素が配され、長年アメリカ大橋展望台の象徴的なランドマークとして親しまれてきた。

     解体前の公園と記念碑の様子

これに対し、ホセ・ラウル・ムリノ大統領は直ちに強い言葉で非難した。SNSおよび公式声明で「正当な理由のない野蛮な行為」「許しがたい非理性的行動」と断じ、「パナマの華人コミュニティは170年以上にわたり国家建設に多大な貢献をしてきた。彼らは完全な敬意と保護を受けるべき存在だ」と強調した。大統領は事件の徹底調査と責任追及を指示するとともに、公共事業省、パナマ運河庁、文化省などの関係機関に対し、華人団体と連携して原位置での早期復元を命じた。

パナマ外務省をはじめ、各政党・市民団体も次々と声明を発表。「華人コミュニティはパナマ多文化社会の不可分な一部であり、このような行為は国家の包容的伝統に反する」と批判の声を上げた。

中国駐パナマ大使館も12月29日、厳しい声明を発表。「極度に驚愕し、強い憤慨を覚え、断固として反対する」と表明した。声明では、171年前に多くの華人が大洋を渡り、過酷な労働の中で命を落とした歴史を振り返り、「華人移民の苦難と貢献はパナマ国家の歴史そのものだ」と指摘。2004年に政府が毎年3月30日を「華人の日」と定めた意義にも触れ、「中国パナマ公園と記念碑は個人や地方自治体の私物ではなく、両国人民の友好の象徴であり、パナマ国家の共同財産だ」と強調した。大使館は事件の徹底調査、違法行為者の厳正処分、華人団体との十分な協議による原位置復元を強く求めるとともに、現地華人コミュニティに対し冷静な権利主張を呼びかけた。

(中国経済新聞)