中国の少年アイドルグループ「時代少年団」、上海コンサートで30万人のファンが熱狂

2025/08/22 13:30

8月20日から24日にかけて、中国の人気少年アイドルグループ「時代少年団」が上海体育場で4日間にわたり「加冠礼」コンサートを開催し、約30万人の観客を動員すると予想される。観客のうち、25歳以下が80%を占め、未成年者が25%以上を占めることから、警察は会場にアルファベットで識別された2カ所の「保護者待機エリア」を設置し、女性用トイレの割合も増やした。また、地下鉄1号線、4号線、11号線は混雑状況に応じて23時30分まで運行時間を延長する予定だ。

時代少年団は、TFBOYSを輩出した北京時代峰峻文化芸術発展有限公司が手掛けた中国の男性アイドルグループで、馬嘉祺(マー・ジアチー)、丁程鑫(ディン・チェンシン)、宋亞軒(ソン・ヤシュエン)、劉耀文(リウ・ヤオウェン)、張真源(ジャン・ジェンユエン)、厳浩翔(イェン・ハオシャン)、賀峻霖(フー・ジュンリン)の7人で構成される、平均年齢は21歳。グループは「養成系」と呼ばれる独自のビジネスモデルで運営され、ファンはメンバーの成長過程に深く関与することで知られる。

時代少年団のファンの熱狂的な行動は、所属事務所が採用する「アイドル養成系」ビジネスモデルに大きく起因する。このモデルは、ファンがメンバーのデビュー初期から彼らの成長を見守り、青涩な少年から成熟したアーティストへと変化する過程に立ち会うことを特徴とする。この「息子を育てる」ような体験は、ファンに強い所有欲や責任感を生み出す。

さらに、事務所はドキュメンタリー映像を通じて、メンバーが宿題を補ったり、リハーサルでミスをするような「リアルな」場面を公開し、ファンとの「家族のような親密さ」を演出する。これにより、ファンは「アイドルの不足を補う」ために熱心に応援するよう促される。また、事務所はネット上での話題作りや関連グッズの販売を通じて、特定のメンバーを応援するためにファンがお金を使うことを誘導し、ファン同士の競争を煽る戦略を取る。

しかし、こうした熱狂的な応援は時に過度な行動を引き起こし、悪循環を生んでいる。一部のファンは、メンバーのフライト情報を購入して同じ便に搭乗したり、ホテルに侵入して盗聴器を設置するなどの問題行動を起こす。事務所がこれに対して法的措置を取ろうとすると、「暴力には暴力で対抗する」といった法的な論争に発展するケースも見られる。たとえば、長沙での収録現場では、ファンが警備員のバリケードを突破し、車を追いかけて道路を麻痺させる事件も発生した。

時代少年団の上海コンサートは、彼らの人気と影響力の大きさを象徴するイベントだ。しかし、「養成系」モデルがもたらすファンの過剰な熱狂は、社会的な問題を引き起こす要因ともなっている。

(中国経済新聞)