映画『731』が公開、初日の上映回数は25.7万回を超え

2025/09/18 11:39

9月18日、日中戦争の発端となった「9月18日事変」の記念日に、侵華日軍第731部隊を題材にした映画「731」が正式に公開された。最新の統計データによると、公開初日の全国上映回数は25.7万回を超え、従来の記録保持者である「哪吒之魔童鬧海」(2025年2月16日、25.58万回)を上回り、中国映画史における単日上映回数の最高記録を樹立した。また、プレセールチケットの総売上は1億元(約20億円)を超えた。

9月17日、映画「731」はハルビンで世界初のプレミア上映会を開催。正式な公開は9月18日午前9時18分に設定され、「警鐘長鳴(警鐘を鳴らし続ける)」のスローガンとともに、「歴史を銘記」「国恥を忘れるな」「我々は自ら強くなる」といった特別な上映枠が設けられた。

本作の監督である趙林山は、メディアのインタビューで製作の苦労を振り返った。脚本は2017年に始まり、2019年に完成するまで数え切れないほどの改稿を重ねた。「頭を悩ませ、目を酷使し、最終的には自分でカメラを担いで撮影に臨んだ」と語る。撮影は2021年2月5日に開始され、2022年1月26日に終了。極寒の東北地方で、風雪をものともせず撮影に挑んだ。「映画作りは簡単な仕事ではない。歯を食いしばって取り組んだが、決して諦めなかった」と趙は述べる。

この映画は、日常の家庭内の出来事を描くテレビドラマや、表面をなぞるだけの文芸作品とは異なる。「歴史の傷を真正面から切り開く、過酷な仕事だ」と趙は強調する。6年にわたる国際的な資料収集の過程で、趙は歴史の細部に潜む「嘘」が最も恐ろしいと気づいた。「映画に登場する『健康と引き換えに自由』『天皇の親善』『食料の貴重さ』といった言葉は、史料から見つけた嘘の端緒だ。これらが歴史的悲劇を生んだ一因だと考えている」と彼は語った。

趙林山は、第731部隊の歴史を「人類史の最も暗い瞬間」と表現する。映画「731」は、侵華日軍がハルビンを拠点に細菌戦を計画・実行し、少なくとも3000人以上の中国、ソ連、朝鮮などの人々を生体実験の材料として扱った残虐な史実を描く。趙は、こうした罪を暴くことで「社会の力を結集し、平和を愛する人々を団結させたい」と語る。「第731部隊の史実の掘り起こしと検証は、ほんの始まりに過ぎない。この歴史を全世界、全民族、全人類の記憶として刻み込みたい」と彼は訴える。

なぜ今、このタイミングで「731」を公開するのか。趙林山はこう答えた。「我々は歴史を振り返ることで、痛みを再び抉り出すのではなく、平和の光を人類文明の道に照らすことを目指している」。映画は、単なる歴史の再現を超え、現代社会における平和の重要性を訴えるものとなっている。

公開初日の記録的な上映回数と観客の熱い反応は、この映画が中国国内外で大きな注目を集めていることを示している。

(中国経済新聞)