中国のロボットメーカー・Unitree Robotics(宇樹科技)の人型ロボットが、米国の人気オーディション番組「America’s Got Talent」に出演し、高度なダンスパフォーマンスで観客や審査員を魅了した。一方で、米議会では中国製ロボットの規制を求める動きも強まっており、中国のロボット技術をめぐる評価と警戒感のギャップが浮き彫りとなっている。
現地時間6月2日に放送された番組では、中国・四川省出身の26歳のダンサー、Wu Yufei(呉宇飛)さんが8台の宇樹製ロボットとともに登場。米歌手Lady Gagaの楽曲「Abracadabra」に合わせて息の合ったダンスを披露した。

パフォーマンスでは、ロボットたちが人間さながらのリズム感で踊り、正確な動作や見事なバク宙を披露。演技終了前から観客席では歓声と拍手が起こり、会場全体が熱気に包まれた。
番組審査員らも驚きを隠せず、「完璧だ」「信じられないほど素晴らしい」と称賛。最終的に4人の審査員全員が合格票を投じ、宇樹チームは次のラウンドへ進出した。
「アメリカズ・ゴット・タレント」は2006年から放送されている米国屈指の人気番組で、前シーズンの平均視聴者数は約600万人とされる。今回の出演により、多くの米国人が初めて中国製人型ロボットの性能を目の当たりにした。
放送後、関連動画はSNSで急速に拡散し、番組公式YouTubeチャンネルに掲載された映像は5日時点で再生回数100万回を突破。高い関心を集めている。
一方、中国ロボット企業を取り巻く米国の政治環境は厳しさを増している。宇樹ロボットが番組に登場した翌日の6月3日には、米連邦議会で中国製ロボットの市場参入制限を目指す超党派法案「GUARD法案」が提出された。また、中国製ロボットの連邦政府調達を制限する別の法案も審議されている。
米シンクタンク関係者は、宇樹ロボットに対する一般市民の好意的な反応は、中国技術に対する政治家と一般消費者の認識の違いを示していると指摘する。中国製ドローンや動画投稿アプリTikTokと同様、人気を集める中国発テクノロジー製品が政治的な規制対象となるケースは少なくない。

香港紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』によると、宇樹科技は現在、海外向け販売を拡大しており、北米や欧州、日本を重要市場と位置付けている。さらに今月には、米半導体大手のNVIDIA公式サイトとの協力を発表し、大学や研究機関向けの人型ロボット研究プラットフォームの展開も進めている。
専門家は、今回のテレビ出演はブランド認知度向上に大きく貢献したと評価する一方で、中国ロボット企業が海外市場で本格的に普及するためには、現地での保守・運用体制やパートナー網の整備が依然として大きな課題だと指摘している。
(中国経済新聞)
