習近平国家主席、世界AI大会で基調講演 公正なAIガバナンス構築を提唱

2026/07/18 17:30

中国の習近平国家主席は7月17日、上海市で開幕した「2026世界人工知能大会(WAIC)・人工知能グローバルガバナンス・ハイレベル会議」の開幕式に出席し、「公正で合理的なグローバル人工知能ガバナンス体制を共に構築しよう」と題する基調講演を行った。

開幕式には各国の国家元首や政府首脳、国際機関の代表らが出席し、習主席は各国代表団と記念撮影を行った後、AI技術の急速な発展に伴う機会と課題について見解を示した。

習主席は、世界が大きな変革期を迎え、AI技術の革新がかつてない速度で進展する一方、安全保障や倫理、ガバナンスなど新たな課題にも直面していると指摘。「機械が思考を始めたとき、人類はいかに共存すべきか」「アルゴリズムが意思決定に関与する中で安全をどう確保するか」「技術が倫理に挑戦する中で、ガバナンスはいかに対応するか」「デジタル格差をどう解消するか」といった課題を提起した。その上で、「人間中心」と「善のためのAI」の理念を堅持し、AIを共同繁栄と共通の安全を支える重要な原動力とすべきだと強調した。

習主席は、AIの発展とガバナンスに関して次の4点を提案した。

第一に、開放と互恵を堅持し、イノベーションを推進すること。オープンソースや国際協力を促進し、AI技術の研究開発、産業発展、実社会での活用を進めるとともに、既存産業の高度化や新産業・未来産業の育成を加速させるべきだとした。

第二に、リスクへの対応を強化し、安全で制御可能なAIを実現すること。法制度や技術監視、リスク警戒、緊急対応の仕組みを整備し、AIが常に人類の管理下に置かれるようにするとともに、AI分野で国家安全保障の概念を過度に拡大することや、自国の安全を他国より優先する姿勢に反対する考えを示した。

第三に、包摂性を重視し、文明間の相互理解を促進すること。人類共通の価値観をAIに反映させ、異なる文明間の交流や相互理解を促すためにAIを活用すべきだと述べた。

第四に、真の多国間主義に基づき、グローバルガバナンスを強化すること。国連の役割を重視し、AIの発展戦略やルール、技術標準の国際的な調整を進め、広く合意された国際的なガバナンスの枠組みを早期に構築する必要性を訴えた。また、グローバルサウス諸国の能力向上を支援し、デジタル格差の縮小や持続可能な発展を後押しする考えも示した。

習主席は、中国が2026年から始まる「第15次5カ年計画」の初年度を迎えたことに触れ、中国は市場メカニズムと政府の役割を組み合わせながらAI分野の技術革新を推進し、「AIプラス」行動を積極的に展開していると説明した。中国のAI関連中核産業の市場規模は1兆元を超え、「中国スマート製造」は中国式現代化を象徴する新たなブランドになっていると述べた。また、中国はAI関連の法制度や政策、倫理指針を整備し、安全で信頼できるAIの発展を進めていると強調した。

さらに、各国の協力により「世界人工知能協力機構」が上海で設立されたことを明らかにし、「AIの発展とガバナンスの歴史における重要な節目になる」と位置付けた。

今後5年間の具体的な支援策として、中国は発展途上国向けにAI分野の研修枠5,000人分を提供するほか、ASEAN、アラブ連盟、アフリカ連合(AU)、ラテンアメリカ・カリブ諸国共同体(CELAC)、上海協力機構(SCO)、BRICSを対象に国際AI応用協力センターを設立する方針を表明した。また、中国が開発したAI気象早期警戒システム「媽祖(Mazu)」を30か国で導入する計画も示した。

開幕式では、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領、カンボジアのフン・マネット首相、タイのアヌティン首相、国連のアントニオ・グテーレス事務総長もそれぞれ演説し、世界人工知能協力機構の設立を歓迎するとともに、中国がAIの国際ガバナンスで果たしている役割を評価した。

会議では「2026世界人工知能大会・人工知能グローバルガバナンス・ハイレベル会議議長声明」も採択された。

また、16日夜には習主席と彭麗媛夫人が上海の世界会客庁で各国の来賓を招いた歓迎晩餐会を開催した。開幕式には蔡奇、丁薛祥、王毅らも出席し、上海市党委員会書記の陳吉寧氏が司会を務めた。

(中国経済新聞)