国連が警鐘 AIデータセンター、2030年に13億人分の水資源を消費か

2026/06/5 10:30

国連大学水・環境・健康研究所(UNU-INWEH)は6月3日、「人工知能(AI)のエネルギー消費がもたらす環境コスト:炭素・水・土地フットプリント」と題する報告書を発表した。報告書は、AI利用の急拡大に伴い、データセンターの電力消費や水資源利用、環境負荷が今後急速に増加すると警告している。

報告によると、2030年までに世界のデータセンターの電力需要は945テラワット時(TWh)に達する見通しで、関連する年間水使用量は約9.3兆リットルに増加すると予測されている。これは、サハラ以南アフリカ地域の約13億人が1年間に必要とする生活用水量に相当する。また、データセンター関連施設が占有する土地面積は1万4500平方キロメートルを超える見込みだ。

報告書は、AIの環境負荷を評価する際には二酸化炭素排出量だけでなく、「水フットプリント(水資源への負荷)」や「土地フットプリント(土地利用への負荷)」も考慮すべきだと指摘している。低炭素化が必ずしも環境負荷全体の低減を意味するわけではないという。

AIの消費エネルギーについては、大規模言語モデルの学習(トレーニング)よりも、実際に利用者がAIと対話したりコンテンツを生成したりする運用段階が全体の80~90%を占めるという。AIタスクが複雑になるほど消費電力も増大する傾向がある。

2025年の世界のデータセンター消費電力は約448TWhと推計されており、これに伴う二酸化炭素排出量は約2億800万トンに達する。これはアルゼンチン1国の年間排出量に匹敵する規模で、約4.5兆リットルの水資源が消費されたとされる。

さらに報告では、2030年にはデータセンターが世界全体の電力消費量の約3%を占める可能性があると分析している。AI関連の電力消費比率も現在の約20%から40%へ拡大する見通しだ。

国連大学の研究者らは、AIは一見すると「クリーンな技術」に見えるが、実際には大量のサーバーや通信設備、冷却システムといった物理的インフラに支えられていると強調する。画面上では見えないものの、その裏側では膨大な電力や水資源が消費されているという。

報告書では、AIへの質問や指示を簡潔にすることも省エネルギーにつながると指摘している。研究によれば、入力する文章量を30%削減すると、AIの消費エネルギーを約25%抑えられる可能性があるという。

一方で、AI業界側は技術革新による効率化を進めている。近年では、Microsoft、OpenAI、Oracleなどが、水使用量削減のため蒸発冷却方式からの転換を進めている。

また、Googleは、データセンター周辺地域の給水インフラ整備や代替水源の活用を進めるとともに、水利用状況の透明化を図る方針を示している。

一方、SpaceXは、AI関連データセンターの拡大において、水資源の確保が電力供給や半導体調達と並ぶ重要なリスク要因であると指摘している。

専門家は、AI技術の発展そのものを否定するのではなく、その環境コストを正確に把握し、持続可能な形で活用していくことが重要だと強調している。AIが社会にもたらす利便性と環境負荷のバランスをどのように取るかが、今後の大きな課題となりそうだ。

(中国経済新聞)