中国国家審計署は6月24日、『2024年度中央予算執行およびその他財政収支の審計報告』を公表し、地方政府による財政運営上の違反行為が多数判明したと明らかにした。特に9つの省・市において、政府投資や債務返済、財政補填を目的として、違法に隠れ債務(隠性債務)を調達し、問題となった金額は総額1325億9000万元(約2兆8000億円)にのぼるという。
報告書によると、福建省晋江市では2024年9月以降、地方政府の融資プラットフォームが省内の慈善団体や勇敢な行動を表彰する協会など9つの公益団体から合計15億200万元(約300億円)の借入を行い、その一部が政府の投資プロジェクトに使用され、隠れ債務が形成されたとされる。
また、違法な資金調達に金融機関が関与していた実態も報告された。重点審査の対象となった7つの商業銀行のうち5行において、異常な資金の流れに対する監視が不十分であったことが判明。これにより11の融資プラットフォームが、一般市民から合計247億4300万元を集めたとされ、主に既存債務の返済に充てられた。さらに、一部では年利12%という「元本保証付き」の高利回りを約束するなど、リスクが公的領域から民間に拡散する事態が発生している。
審計署の報告では、これらの新たな隠れ債務の発生に加えて、「虚偽による隠れ債務の解消」の事例も多数指摘された。6つの地方政府が、債務台帳の直接改ざん、政府債務の企業債務への転換、新規債務による旧債務の返済などの手法を通じて、計23億2000万元の「債務解消」を装っていたという。
さらに、17地域における18の国有融資プラットフォームでは、複数の村民や村集体の名義を用いて農業関連融資を不正に集約し、総額46億6600万元を自身の債務返済に充てていた事実も明らかになった。
今回の報告は、地方政府における不透明な債務慣行と、公共資金の流用という重大な問題を浮き彫りにしたものであり、中国政府が今後いかにして財政規律を強化し、債務リスクを制御するかが注目される。
(中国経済新聞)