中国の5月消費者物価指数 4か月連続マイナス

2025/06/9 14:08

6月9日、中国国家統計局は、5月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比で0.1%下落し、4か月連続でマイナスとなったと発表した。これは、個人消費の低迷と物価下落が持続していることを示しており、デフレへの懸念が一層強まっている。

今回のCPIの下落要因としては、生鮮野菜の価格低下に加え、自動車価格の下落が挙げられる。消費者の節約志向が強まる中、高額商品の購入を控える動きが広がっている。また、不動産市場の冷え込みにより、家具や家電製品の価格も下がっており、物価全体の押し下げ要因となっている。

同時に発表された生産者物価指数(PPI)も、前年同月比で3.3%の下落となった。これでPPIは連続して20か月以上マイナス圏にとどまっており、製造業の収益圧迫や設備投資の抑制につながる可能性も指摘されている。

一方で、中国政府はアメリカとの経済関係改善にも取り組んでいる。5月には、米中双方が一部の追加関税を引き下げることで合意し、経済協議の継続を確認した。しかし、その協議内容によっては、再び貿易摩擦が激化する可能性も否定できず、先行き不透明感は依然として根強い。

こうした経済情勢を受け、中国人民銀行は5月に利下げを含む追加的な金融緩和策を実施。また、中国政府も経済成長の安定化を目的として、内需拡大に重点を置く方針を打ち出している。インフラ投資や自動車・家電の買い替え支援策など、消費を喚起する具体策の実施が期待される。

エコノミストの間では、「現時点での物価下落は一時的な要因による面もあるが、消費マインドの低下や企業投資の停滞が長期化すれば、本格的なデフレ圧力に転じるおそれがある」との指摘もある。

今後、中国当局がいかに迅速かつ的確な政策対応を行い、国民の購買意欲を取り戻すことができるかが、経済回復の鍵を握ることになる。

(中国経済新聞)