iQIYI、新規アイデアでコンテンツ産業を牽引

2025/05/3 07:30

中国の企業情報サイト「天眼査専業版」によると、中国には「映像」関連の会社が2025年4月現在で90万社以上という。急成長を続けるこの業界で、動画エンタメは「短く良質で量も増え新品が多い」という傾向が見えている。「短く良質な」動画への人気が高まっている中、動画配信大手「愛奇芸」iQIYI)は先ごろ開催した2025「世界会議」で、業界の動向を深く見極めた一連の取り組みを発表した。AIのイノベーションやIPエコロジーの拡大、コンテンツの充実化、クリエイターへの支援などを通じてコンテンツ産業を一段と牽引し、エンタメ市場の新たな成長を狙うものである。

AIイノベーション:コンテンツの制作や楽しみ方を一新

動画エンタメ業界でAIが改革の原動力になっている中、技術革新を進めるiQIYIが先ごろ打ち出した取り組みに注目が集まっている。2025「世界会議」で、一段と面白味を高めるためのAIの力を十分に示すものとして、「跳看」とアシスタントの「桃豆」という2つの機能が発表された。

iQIYIの基礎アーキテクチャー智能分配事業群の統括である劉文峰氏は、開幕式の基調講演で、「『跳看』は、動画の画面をAIが詳しく分析することで、ストーリーが実際に進展し一番の見どころの部分を探り出すものだ。画面を上下にスライドさせればいい場面の間を自由にジャンプできるので、見どころを逃すことなく、また自分だけの見方が楽しめる」と語った。実際の閲覧行動の履歴が増えるにつれて、AIモデルの見どころシーンの認識結果も改善されていく。同じコンテンツが、視聴者によってはまるごと版になったり、あるいは35分のハイライト、または20分のダイジェストになったりして、「千差万別」のコンテンツが出来上がる。

劉氏は、「『跳看』機能で選択権を視聴者に預けた。視聴者の注意力からコンテンツ制作や商品の作り方を考えると、何もかもがまるで違ったものになる」と述べた。

iQIYIは視聴者のやり取りについて、検索、おすすめ、Q&A、コンテンツのチャットなど、それぞれ独自のやりとりサービスをトータルで実施するアシスタント機能「桃豆」を打ち出した。

iQIYIの「桃豆世界」は、2024年にリリースされてから1000人近いIPキャラクターとユーザーが1億回以上の対話を繰り広げた。これらのIPのAIロボットは本来の性格や言葉遣い、考え方をそのまま残したもので、常に途絶えることなくファンとの交流を果たせるものだ。このようなディテールでIPのキャラクターを「生き物」とし、IPの価値を一段と引き上げることができる。

IPの多元的な開発: IPエコロジーでビジネスが一段と拡大

iQIYIはIPエコロジーの構築について、引き続き有名IPの育成に努めていく。「短く良質で量も増え新品が多い」というコンテンツの成長傾向が見える中、iQIYIは資源を集めて良質な案件を育て上げ、永らく持続する有名IPグループの育成に努める。IPの派生事業の開発やテーマパークの建設、完全没入型の劇場作りなどの事業の多元的な実行を通じて、IPの価値の立体的な開発体系を築く。同時にグローバル化も加速し、優れた中国ドラマを海外でリリースして、中国文化の影響力拡大を続ける。

2025年に入ってiQIYIは、江蘇省の揚州や河南省の開封で映像テーマIPを楽しむための没入型エンタメの場となるiQIYIランドを打ち立てると相次ぎ発表した。今大会ではその立地場所やデザイン、主なアトラクションが発表されている。

またiQIYIキッズが、「主力IPで中国をナレーション」という制作方針に沿って、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーおよびワイルドブレインとコラボすると発表した。「トムとジェリー」の上映から85年となる今年、iQIYIとワーナー・ブラザース・ディスカバリーが、ユーモアのある物語に中国らしさを交えた「中国のトムとジェリー」(仮題)の制作にとりかかる。またiQIYIキッズとワイルドブレインとの提携では、IPの360度の営業モデルを切り口に、ワイルドブレインの主力IPである「テレタビーズ」と「イン・ザ・ナイトガーデン」を中国風にする事業を展開する。

(中国経済新聞)