インドネシア、一部輸入品に最高200%の追加関税 中国企業への影響は?

2024/07/4 11:30

インドネシアのズルキフリ・ハッサン(Zulkifli Hasan)貿易相は現地時間6月28日、国内産業の保護への取り組み再開に向け、靴や瀬戸物などの輸入品に100%~200%のセーフガード関税を徴収すると発表した。

インドネシアは去年末に、輸入品3000品目以上に対する管理強化策を打ち出したが、国内産業で必要な材料の流通が滞るとの理由で撤回された。今回の関税政策は靴、アパレル、繊維製品、化粧品、瀬戸物などが対象となり、実施時期は未定である。インドネシア統計局によると、これらの品の輸入元は主に中国、ベトナム、バングラデシュである。

東南アジアで経済力や人口が最大であるインドネシアは、中国企業から見れば極めて有力なマーケットである。中国税関によると、今年1~5月のインドネシアとの貿易総額は前年比2.5%減の566.15億ドル(約9.15兆円)で、うち輸出は8.0%増、輸入は11.3%減であった。この金額はASEANの中ではベトナム、マレーシアに次ぐ3位で、タイをわずかに上回っている。

河北省に工場のある北京菱跑国際貿易の趙夏笛総経理は、高い関税障壁や世界の産業チェーン分散化という流れを前にした今年、靴本体でなく靴の材料を輸出する形に切り替えている。「インドネシアに材料を輸出して現地で作る。現地は工場は多いがサプライチェーンが不十分だ」 とのことである。また、中国の生産体制のグローバル化もにらみ、当初は主に欧米向けに靴を輸出していたものを、インドネシアなど新興の地域に材料を輸出する形へ徐々にシフトしている。

インドネシアで5年にわたりアジア日用品購買博覧会を開催してきた寧波三衆国際商務会展の劉奕総経理は先ごろ、「東南アジアは、発注件数で欧米には及ばないがマーケットが出来上がりつつあり、ビジネス上の各ステップもだいぶ安定してきた」と述べた。大口の注文について、現在は輸入業者や代理店が主役となっているが、小売り業者も中国に購買センターや事務所を設けて中国企業から直購入するようになっている。

しかし、高額な関税が加わるとこの流れに当然待ったがかかる。これについて劉総経理は、「まだ実施前で、具体内容は未定だ」と言う。今は現地に工場を構える企業がどんどん増えているが、今回インドネシアがセーフガード関税の導入を発表したのは、アメリカの発注を確保しておくことが大きな理由であるという。ただし、現地に工場を構えるべきかは、やはり自社の状況を見て長期計画を立てる必要があるとのことである。

(中国経済新聞)