競争が激しくなっているスモール系のEVについて、五菱汽車とBYDがともに3月6日、新たな車種を発表した。五菱汽車はA0クラス5ドアのSUV「繽果(Bingo)PLUS」を発表、走行距離は401kmと510kmの2タイプがあり、売値は前者が8.98万元(約184万円)、後者は500キロタイプのEVとして10万元(約205万円)を切る9.88万元(約202万円)である。また五菱繽果もこの日に5000~8000元(約10万円~16万円)の値引き措置を発表し、エントリーモデルは6.88万元(約141万円)の安さとなる。
またBYDも、海鷗(シーガル)栄耀版で走行距離が305kmと405kmの2タイプを発表した。売値は6.98万(約143万円)~8.58万元(約176万円)で、従来タイプより4000元(約8万円)安い。
両社のこうした成果は、コスト抑制への自信の表れであり、特にコンパクトEVは電動化が進む中でマーケットの反応が最も早い分野である。
中国乗用車市場情報連席会によると、2023年は、コンパクトカーでは新エネ車の割合が100%、スモール系では同じく58%以上で12月には66%に達したという。こうした中、ともにEVメーカーであるBYDと五菱汽車はこの分野をリードする存在となり、売上上位を占めている。
ガソリン車が徐々に消えていくスモール系で、EVタイプはコスト抑制が勝ち抜きへの決め手になっている。BYDはこれについて値引きを通じてメリットを示しており、UBS銀行の分析では、BYDのコスト抑制力はテスラなど並みいる競争社に勝るという。五菱汽車もローコストモデルをバックに優位に立っており、プラットフォームの大規模化やコア部品のコストダウン、そして柳州の安価な人件費が好調を支えている。
五菱汽車は、価格競争にひるまない姿勢を示している。上汽GM五菱の製品イノベーションセンター代表である趙奕凡(Zhao Yifan)は、「元から新エネ車に支えられている当社は一段とスケールメリットを発揮する。市場が逆風になるとこれが強みになる。今のスモール系EVの競争は、技術や製品だけでなくコスト抑制力の競い合いである」と強調している。
(中国経済新聞)