9月23日夜、浙江省の杭州オリンピックセンタースタジアムで第19回アジア大会の開会式が行われた。
開会式は、「国風雅韻」、「銭塘潮涌」、「携手同行」の3部に分かれ、5000年以上の文明史および1000年の宋韻文化と、デジタルの都市という杭州の特色を混ぜ合わせたものとなった。
「テーマは『アジアの潮流』。これは中国の伝統文化から得たインスピレーションだ」。開会式のディレクターおよびプロデューサーを務めた沙暁嵐氏はこのように語る。浙江省そして杭州の代表的なシンボルやイメージであるこのテーマについて、「銭塘江の潮のうねりを思い起こし、『潮』の先頭に立つ。『潮』は浙江省を代表するものであり、式では中国風の潮、スポーツの潮、デジタルの潮なども表現した」と述べた。式はアトラクションも含めて「水」で統一したもので、「アジアの潮流」により新時代で中国とアジア、そして世界の文化が溶け合う姿を醸し出した。
また式では、杭州の有名な曲「夢想天堂」を会場の全員で合唱し、すべての観客が「主役」となった。「夢想天堂」についてディレクター補佐の崔巍氏は、「『愛着感』をもたらすもの」と言う。スクリーンに「自然の風景」の絵巻が徐々に広がり、観客席ではおよそ100か所の「幸福の扉」が開き、華やかな夜景の中、平和に暮らす杭州の人々の姿が示され、中国さらにはアジアの幸せな光景が全世界に披露された。
演出スタッフはかねてから中国の美学と近代科技との結びつきを模索しており、デジタルの聖火ランナーと本物の聖火ランナーが一緒にトーチに点火する「デジタル・リアル融合」という大会史上初の試みも行われ、「未来に向けて希望の火を燃やす」というメッセージを世界に発信した。
9月23日は二十四節気の秋分にあたり、選手団の入場式では杭州のキンモクセイが視覚、聴覚、嗅覚で感じ取れたほか、アジアの人々の暮らしが幸せで素晴らしくなるように、との意味を込めて、古代「良渚」の豊作祝いといったスタイルも披露された。
開会式は全体を通して、中華文明の良渚文化のおこりで浙江省や杭州の文化のルーツであり、アジア各国をつなぐ存在であるという「水」を意識したものとなった。また、宋韻文化における「水」で、崇高の美と婉曲の美が向き合って行ったのである。
宋韻に根付く「詩文いずこにもあり」というムードも表現された。宋韻の遊覧船すべてに宋韻の詩文化が映し出され、生活の素晴らしさは身近にあると感じさせるものであった。そして踊りながらの行進が始まると、知識人の芸や、茶道、焼香、生け花、飾り絵など文人による多数の細かな表現とそれらに合わせた説明なども目に入った。フィナーレでは、かつての臨安と今の杭州が向き合う光景が見えた。バーチャル技術を利用して新旧まみえた夜景の街並みを披露して見せたのである。「付き合いに遠近なし、万里でも隣」という心からの招待状をアジアすべてに送り出した。
(中国経済新聞)