テンセント・ミュージック、12.6億ドルでヒマラヤを買収

2025/06/11 11:30

6月10日夜、テンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループ(TME)は、中国を代表するオンライン音声プラットフォーム「ヒマラヤ(喜馬拉雅)」を12.6億ドルの現金を含む対価で買収する計画を発表した。この取引により、ヒマラヤはテンセント・ミュージックの完全子会社となる。取引は現在、規制当局の承認を待っている状態だ。発表後、テンセント・ミュージックの株価は米国市場のプレマーケット取引で一時10%以上上昇した。

発表によると、買収対価には12.6億ドルの現金が含まれるほか、テンセント・ミュージックは取引完了前5営業日時点での発行済み普通株式総数の5.1986%に相当するAクラス普通株をヒマラヤに発行する。さらに、取引完了時およびその後に、ヒマラヤの創業株主に対して総株式数の0.37%に相当するAクラス普通株を段階的に発行する予定だ。また、買収契約に基づき、ヒマラヤは取引に関連する一部の既存事業を再編する。

同日夜、ヒマラヤは公式声明を発表し、買収後も「現在のブランド、独立した製品運営、核心的な管理チーム、会社の戦略的方向性は変わらない」と強調した。さらに、「パートナーと締結したすべての契約は約束通り履行され、顧客の権利も法律に基づいて保護される」と約束した。これにより、ユーザーやパートナーに対する信頼の維持を図っている。

ヒマラヤはこれまで複数回、株式公開(IPO)を試みてきたが成功していない。2021年5月には米国証券取引委員会(SEC)に上場申請書を提出したが、滴滴出行の上場問題や市場環境の変化などの影響を受け、申請を取り下げた。その後、2021年9月に香港証券取引所での上場を目指し、2022年3月と2024年4月に招股書(目論見書)を更新したが、進展は見られなかった。今年に入り、テンセント・ミュージックによるヒマラヤ買収の噂が市場で流れ始め、今回の発表に至った。

ヒマラヤは2013年にアプリをリリースし、中国で最も早くオンライン音声プラットフォームを展開した企業の一つである。最新の招股書に引用された灼識コンサルティングのデータによると、2023年のオンライン音声収入に基づく市場シェアは25%で、中国最大のオンライン音声プラットフォームとしての地位を確立している。ポッドキャストやオーディオブックなどのコンテンツを提供し、幅広いユーザーに支持されている。

(中国経済新聞)