英国の財務報告評議会(FRC)は2月16日、コンサルテーション文書を公表し、ロンドン証券取引所(LSE)に上場する中国企業に対する監査基準の暫定的な緩和を提案した。この改正案では、中国登録企業がグローバル預託証券(GDR)を発行してロンドンで上場する場合、監査人が中国監査基準(CSAs)を英国上場目的で使用することを一時的に認める内容だ。
現在、英国では外国企業の上場監査に国際監査基準(ISAs)の適用が求められており、中国会計基準(CSAs)とISAsの完全な等価性が認められていないため、中国企業は追加でISAsを適用するか、ISAsに準拠していることを明確に確認する必要がある。この二重基準が行政的・技術的な負担となり、上場障壁の一つと指摘されてきた。
FRCによると、この政策見直しは英国政府の要請に基づくもので、「一部の中国登録発行人が英国を上場地として選ぶ際に直面する障壁を解消する」狙いがある。英国政府は、競合するスイスやドイツなどの市場がすでに中国企業に対し母国基準の使用を認めていることを踏まえ、ロンドンの競争力低下を懸念している。金融行為規制機構(FCA)も、新規IPO案件の流出を防ぐため、早急な対応を求めている。
ロンドン証券取引所のIPO市場は近年低迷が続いている。2023年には上場企業数が23社に落ち込み、2022年の45社から約49%減少。2024年はさらに18社、2025年は23社(調達額約21億ポンド)と回復傾向にあるものの、依然として低水準だ。英国政府とFCAは上市制度全体の見直しを進めており、今回の監査基準緩和はその一環と言える。
背景には中英間の外交・金融協力の深化もある。2026年1月28日から31日にかけて、英国のキア・スターマー首相が中国を公式訪問し、両国間で複数の成果が合意された。その一つとして、1月31日に北京で中英金融ワーキンググループの初会合が開催され、中国人民銀行の潘功勝総裁と英国財務省のルーシー・リグビー経済国务大臣が共同議長を務めた。合意文書では、資本市場が実体経済成長を支える重要性を再確認し、両国が条件を満たす企業に対し、相手国市場への上場・資金調達を奨励することで一致した。
この枠組みの中心にあるのが「滬倫通」(Shanghai-London Stock Connect)だ。2019年に中英両政府が設立した株式市場相互接続メカニズムで、中国企業はGDRを発行してロンドンで上場でき、英国企業はCDRを発行して上海や深圳で上場可能となる。現在までに6社の中国企業がこの仕組みでロンドンに上場しているが、当初の期待に比べて規模は小さく、逆に英国企業の上場はゼロのままだ。
FRCの提案では、緩和措置は「一時的」であり、2026年1月1日以降開始の会計年度に適用され、2年間の限定とする方向だ。コンサルテーション期間は6週間で、締め切りは2026年3月27日。市場では、この一連の外交・規制緩和の動きが重なり、ロンドンに中国企業の上場ラッシュが訪れる可能性に注目が集まっている。ロンドンが国際金融センターとしての地位を維持・強化するための重要な一手となるか、今後の動向が待たれる。
(中国経済新聞)
