5Gの通信ネットワークが本格導入されてから間もなく6年となる中国では、規格の制定や地域間での大規模な利用も実行されている。工業情報化省によると、5Gの基地局は2025年4月末現在で443.9万か所となり、5G対応の携帯電話利用者数は10.81億人で全体の6割近くに達している。
このところ、より高速で高性能なネットワーク「5G-A」の導入も進んでおり、スマホの右上の電波表示が「5G」から「5G-A」に変わったことに気づく利用者も増えている。容量や通信速度、遅延の面で5Gより向上したものである。
5G-Aのネットワーク速度について、実際の利用時と理論上では多少の差異がある。ファーウェイの常務取締役でICTインフラ事業管理委員会の汪涛代表は以前に、5.5Gの時代でネットワーク速度はほぼ10Gbpsとなると述べていた。しかし通信キャリア大手3社の5G-Aのプランでは、5G-Aのネットワーク速度は3Gbps前後となっている。
中国工程院のアカデミー会員である鄔賀銓氏によると、5G-Aは決して5Gに代わるものではなく、5Gから6Gへのつなぎ役であって、6Gの導入に向けて5Gの問題点を見出すことが主眼という。「5G-Aは、ネットワーク構成は5Gと同じであり、無線周波などを通じて可能性を見出すものだ」と述べている。
中国では2021年4月、3GPPが「5.5G」を「5G-Advanced」と命名して標準化への取り組みが始まった。各通信キャリアの取り組みにより5.5Gは主要都市の主なエリアをカバーしており、日常生活でも終日利用が可能となっている。
しかし今度の5G-Aは、利用する際のハードルが高い。まず対象地域であることを確認して、対応機種を手に入れ、より高価なネットワークプランに加入する必要がある。
キャリア大手3社が打ち出したサービスを見ると、おおむね5G-Aプランと5G-Aパケットに分かれており、後者は既存のユーザーが対象である。チャイナユニコム北京支社のパケットシリーズは、既存のプランに加えて下り最大3Gbps/上り最大300Mbpsの通信速度分として月に21.9元を余分に支払う必要がある。
5G-Aはセットプランもかなり値が張る。チャイナモバイル広東支社では、下りが理論最大値2Gbps以上、上りが同じく150Mbps以上という高速通信を利用するには199元以上のプランに加入する必要があるという。
またチャイナテレコムのプランは、下りで最高1Gbpsの場合は199元(約4011円)、同じく2Gbpsでは299元(約6027円)、さらに3Gbpsでは399元(約8043円)となっている。
これらの数字が示す速度をデータで表現すると、平均速度2Gbpsのネットワーク環境では、容量13.7GBで1時間50分の映画がわずか54秒でダウンロード完了する。