ベトナムは、東南アジア地域において中国からの外国直接投資(FDI)が急速に拡大している国の一つである。中国企業は、米中貿易摩擦の長期化や米国による関税引き上げを背景に、サプライチェーンの多様化を図る「チャイナ・プラスワン」戦略を推進しており、ベトナムはその主要な受け皿となっている。地理的な近接性、低コストの労働力、安定した政治環境、そしてASEAN市場への優位なアクセスが、中国投資を強く後押ししている。
2025年のデータを見ると、中国はベトナムへのFDIでシンガポールに次ぐ第2位の投資国となっており、投資件数ではしばしば首位を占めている。このトレンドは2026年に入っても継続しており、ベトナムの経済成長を支える重要な要素となっている。特に、2025年以降の米中摩擦の影響で、中国企業はベトナムを生産拠点として活用し、輸出を強化している。
ベトナムのFDI全体の流れを概観すると、2025年はグローバルな経済不確実性の中でも堅調に推移した。米国の相互関税発動(当初46%から20%に引き下げ)後も、中国投資は減少どころか増加傾向を示しており、これはベトナムが単なる代替拠点ではなく、戦略的な生産ハブとして位置づけられている証拠である。以下では、2025年の全体像から始め、2026年の初期動向、主な投資分野、背景・課題、結論の順に議論を進める。
2025年のFDI全体像と中国の位置づけ
