NVIDIA、9月に中国市場向けAIチップを発表へ、黄仁勛CEOが北京訪問

2025/07/15 08:13

米半導体大手NVIDIA(エヌビディア)は、2025年9月にも中国市場向けに新たに設計された人工知能(AI)用半導体チップを発表する予定であることが分かった。複数のメディア報道によれば、同社の最高経営責任者(CEO)である黄仁勛(Jensen Huang)氏は、7月16日に北京で記者向けの説明会を開催し、自らその計画を明らかにする見通しだ。

黄氏は、同日に開幕する「第3回中国国際サプライチェーン促進博覧会(Chain Expo)」にも出席する予定であり、同社にとって初の出展となる今回の博覧会では、NVIDIAが中国市場に対していかに深い関与と長期的な戦略を持っているかを改めて表明すると見られる。

一方で、米国内では今回の黄氏の訪中に対して懸念の声も上がっている。7月11日、2名の米国上院議員が黄氏に宛てた書簡を送り、中国での訪問中に「米国の輸出規制に違反しているとされる企業や、エンティティリスト(制裁対象リスト)に掲載されている組織」との接触を避けるよう強く求めた。

米政府はここ数年、国家安全保障上の理由から先端AIチップの中国への輸出を厳しく制限しており、NVIDIAにとってもその対応は極めて重要な課題となっている。同社はすでに、米国政府の規制を順守しながら、中国市場向けにスペックを調整したAIチップ「H20」「L20」などを販売しており、今回の新製品もその延長線上にあるとみられる。

なお、NVIDIAは世界のAI半導体市場で圧倒的なシェアを誇るが、米中間の地政学的な緊張の高まりにより、中国でのビジネス展開には慎重な舵取りが求められている。今回の新チップの発表は、こうした難しい環境下においても中国市場を重視する同社の姿勢を象徴するものと受け止められている。

(中国経済新聞)